午前中の仕事パフォーマンスを高める「3+1」の栄養素とそろえ方
――ビジネスパーソンが午前中のパフォーマンスを高めるための具体的なメニュー構成を教えてください。
意識していただきたいのは、「糖質+たんぱく質+食物繊維」の3つの組み合わせです。
【糖質】脳の主要なエネルギー源はブドウ糖なので、朝のご飯を抜いてしまうと、午前中に頭がうまく働かず集中力が低下し、会議でぼーっとしてしまう……なんていうことも。ご飯はきちんと摂りましょう。
【たんぱく質】この連載の第1~3回で石本哲郎さんもお話しされていましたが、筋肉と代謝を守るためにたんぱく質は不可欠です。魚や卵、納豆、豆腐などでしっかりと摂りましょう。
【食物繊維】糖質が身体に吸収されるスピードを緩やかにし、食後の眠気や急激な空腹感を抑えます。野菜や海藻、キノコ類に豊富に含まれています。
さらに意識したいのが「ビタミンB1」。豚肉や大豆製品、玄米、胚芽米に含まれ、摂った糖質を効率よくエネルギーへ変換するのをサポートしてくれます。せっかく糖質を摂っても、エネルギーに変えられなければもったいないですからね。また、食べる順番は「野菜や汁物からスタートする」のがポイント。糖質の吸収がより緩やかになります。
――忙しい朝に、効率よくこの栄養をそろえるコツはありますか?
ポイントは「火を使わずにそろうもの」を上手に活用することです。サバの水煮缶やツナ缶、納豆、豆腐、市販の温泉卵などは、パックを開けるだけ、お皿に出すだけで立派な主菜になります。たとえば「納豆+温泉卵」の組み合わせなら、それだけでたんぱく質たっぷりのメインディッシュに。副菜も、冷凍野菜やカット野菜を電子レンジでチンするだけで出来上がり。調理の手間はもちろん、洗い物が少ないことも忙しい朝の大きな助けになります。
汁物も無理に手作りする必要はありません。手作りの「味噌玉」もいいんですが、ストックを作るとなると結構大変なんですよね(笑)。そこで、市販のインスタント味噌汁に頼るのが賢い方法。乾燥ワカメやとろろ昆布などの海藻を足すだけで、ミネラルと食物繊維がぐっと強化されます。
――手間をかけなくてもきちんと栄養が摂れますね! 逆に、和食で気を付けるべきポイントはありますか?
それは「塩分」です。和食はヘルシーなイメージがありますが、お味噌汁に漬物、佃煮、干物、梅干し……とそろえていくと、朝ごはんだけで1日の塩分目標量の半分近くに達してしまうこともあります。ちなみに、1日の塩分摂取目標量は男性で7.5g未満、女性で6.5g未満とされています。 塩分を抑えるコツは、だしの「旨み」、酢やレモンの「酸味」、生姜やネギといった薬味の「香り」を上手に効かせること。これで薄味でも物足りなさを感じにくくなります。また、汁物は具だくさんにして汁の絶対量を減らすのが効果的。お醤油は「かける」より「つける」ほうが、使う量をぐっと減らせますよ。 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
包丁もコンロも不要! 5分で完成する和定食「納豆温玉で5分 一汁二菜」
包丁もコンロも一切使わず、本当に「そろえるだけ」で完成する和定食をご紹介します。納豆と温泉卵でメインのたんぱく質をしっかり確保し、冷凍ブロッコリーやほうれん草でビタミン、ミネラル、食物繊維をカバー。5分もあれば準備でき、食後の集中力を保ちやすいメニューです。一汁二菜でも十分な栄養補給が叶います。
◎材料(1人分)
・ご飯……150g程度
【主菜】・納豆……1パック ・温泉卵(市販)……1個
【副菜】 ・冷凍ブロッコリー……70g ・かつお節……1パック ・醤油……少々
【汁物】・インスタント味噌汁……1袋 ・冷凍ほうれん草……30g ・熱湯……120~150ml
◎作り方
1.<副菜>冷凍ブロッコリーを耐熱皿に入れ、電子レンジ(600W)で1分ほど加熱して解凍する。水気を切り、かつお節と醤油で和える。
2.<汁物>マグカップに冷凍ほうれん草を入れ、さっと水にくぐらせて霜を落とす。インスタント味噌汁 と熱湯を加え、電子レンジ(600W)で20秒ほど温める。
3.<主菜>器に納豆、温泉卵をのせる。
4.<仕上げ>1~3にご飯を添える。
<ワンポイントアドバイス>
汁物(インスタント味噌汁)のお湯は、ほうれん草から水分が出て味が薄まるため、少なめの量から入れて調整してください。また、冷凍食材を入れると冷めてしまうので、最後にレンジで温めて仕上げましょう。副菜は、トマトなど切るだけのものに替えてもOK。ブロッコリーに和えたかつお節は、重量の約8割がたんぱく質。旨みも強いので、味付けは少量のお醤油で済み、減塩にもつながる「ちょい足し」にぴったりの食材です。 さらに、納豆温玉に「味付けめかぶ」を1パック足せば、ミネラルと食物繊維がアップするのでおすすめです。ただし、めかぶのタレにも塩分があるため、その際は納豆のタレを半分に調整しましょう。
<監修者>
前田量子 |料理家。管理栄養士。東京理科大学卒業後、織田栄養士専門学校にて栄養学を、東京會舘、辻留料理塾、柳原料理教室、ル・コルドンブルーにて料理を学ぶ。保育園や病院での勤務、カフェ経営を経て、調理科学に基づいた料理を教える教室を開催。本格的なのに誰もが再現しやすく、調理科学に裏づけされたレシピ作りに定評あり。雑誌やテレビCM、企業へのレシピ提供なども多く手掛ける。『誰でも1回で味が決まるロジカル調理』などロジカルシリーズ(すべて主婦の友社)、『おデブ管理栄養士だった私が20kgやせた お腹がすかないダイエット』(主婦の友社)など著書多数。>Instagram
<調理・スタイリング・撮影>
二階堂まなみ |調理師、野菜ソムリエ、ロジカル調理®協会認定講師。和食中心の飲食店を20年間経営後、大手料理教室講師や著名料理家のアシスタントを経て独立。現在は自宅料理教室や行政法人主宰の講師を務めるほか、企業向けレシピ開発、社食プロデュース、調理家電開発アドバイス、TVショッピング「QVC」のゲスト出演など幅広く活躍中。江戸懐石近茶流(江戸懐石近茶流講師資格認定)、柳原料理教室で研鑽を積み、旬の野菜と和食を組み合わせた健康的な創作料理レシピに定評がある。著書に『おかず味噌汁』(宝島社)、kindle電子書籍『どんぶり』など多数。SNS総フォロワー数7.8万人(2026年10月現在)。>Instagram
<取材・文/松永加奈 編集/食楽編集部>

