「午前中の会議で集中力が続かない」「しっかり食べているつもりなのに、昼前にお腹が空いて仕事の効率が落ちる」「朝の栄養補給の仕方がわからない」――そんな悩みを抱えるビジネスパーソンは少なくありません。仕事のパフォーマンスを高めるカギの一つが、朝の栄養補給です。

とはいえ、多忙な平日の朝、品数の多い朝食を作るのはなかなか難しいもの。そこで今回は、管理栄養士の前田量子先生に、頭と体を覚醒させる「和定食」の考え方と、5分で完成する「時短和定食レシピ」を教えていただきます。

「作る」のではなく「そろえる」。和定食が栄養バランスを整えやすい理由

――「和定食」とは栄養学的にどのようなメニューを指すのでしょうか?

一般的に和定食といえば、「一汁三菜(ご飯、汁物、主菜1品、副菜2品)」が基本です。栄養学の観点からも、さまざまな食品を組み合わせることで、多様な栄養素をバランスよく摂取しやすいといえます。 よく「バランスのいい食事」というフレーズを耳にしますが、栄養学的に「バランス」とは、たんぱく質・炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素がちょうど良い割合でとれている状態のこと。ただ、そういわれても何をどれだけ食べればいいのかよく分かりませんよね。そこで和定食の出番です。「型」に当てはめて食事をそろえるだけで、栄養バランスを整えやすくなるんですよ。

――その「型」とは、具体的にどのような構成(組み合わせ)なのでしょうか?

和定食はお皿ごとに、しっかりと役割があります。

・ご飯:炭水化物(エネルギー源) ・肉・魚・卵・大豆製品のおかず:たんぱく質・脂質(体や筋肉の材料) ・野菜・海藻・きのこの小鉢や味噌汁:ビタミン・ミネラル・食物繊維(体の調子を整える)

実は、和食が「ユネスコ無形文化遺産」*に登録された際にも、「健康的な食生活を支える栄養バランス」が評価された特徴の一つとして挙げられています。それくらい、和食の「型」はよくできているんです。

*出典:農林水産省『和食;日本人の伝統的な食文化』

頭と体を覚醒させる、朝の和定食「4つのメリット」と「小皿の役割」

――朝食を和定食にすることで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?

メリットは、大きく分けて4つあります。

1.   脂質が控えめで、しかも良質な油がとれる

「焼く・煮る・蒸す」が中心の和食は、調理に余分な油を使わないため、自然と脂質が控えめになります。さらに、鮭などの魚にはDHAやEPAといった脂肪酸が含まれ、納豆などの大豆製品からも良質な脂質を摂取できます。こういった良質な油は、積極的にとっていただきたいですね。

2.   血糖値が上がりにくく、腹持ちが良い

和定食はご飯(糖質)単体ではなく、魚(たんぱく質)や野菜(食物繊維)を同時に摂るため、血糖値の上昇が緩やかになります。食後の急激な眠気を防ぎ、午前中の集中力が持続しやすく、お昼までしっかりお腹がもつことも大きな魅力です。

3.   アミノ酸バランスが自然に整う

お米(穀類)と大豆製品や魚、卵といった主菜を組み合わせることで、お互いの栄養を補い合い、体に必要なアミノ酸がバランスよくそろいます。

4.   体内時計と自律神経が整う

体内時計を整える方法として「朝日を浴びること」が有名ですが、実は「朝食を食べて消化器官を動かすこと」も、体内時計を整えるうえで大切な要素の一つとされています。

――朝の和定食はいいこと尽くしですね。とはいえ、「朝から和食を用意するのはハードルが高い」と感じる人も多いと思うのですが……。

だし巻き卵に焼き魚、お浸し……といった手の込んだ料理をイメージすると、毎朝続けるのは大変ですが、大切なのは「作る料理の数」ではなく「栄養の役割の数」。メニューを難しく考える必要はありません。たとえば、サバ缶や納豆、豆腐はそれだけで立派な主菜になります。カット野菜や冷凍野菜、海苔、とろろ昆布も、トッピングしたり温めたりお湯を注ぐだけで、副菜や汁物の役割をちゃんと果たしてくれます。料理は簡単なもので大丈夫。和定食は「作る」ものではなくて「そろえる」もの。そう捉え直せば、5分でも十分に整いますよ。