朝食は大事だと分かっていても、忙しい朝はコーヒーだけで済ませたり、何も食べずに出勤していませんか? しかし、朝食は午前中の集中力や仕事のパフォーマンスアップはもちろん、10年後、20年後も元気に働き、趣味や旅行を楽しめる体を維持するための「健康寿命」にも関わる重要なファクターです。

連載「パフォーマンスを高める時短最強モーニングレシピ」では、ボディメイクや栄養学に精通したパーソナルトレーナー・石本哲郎さん監修のもと、朝食術を解説し、おすすめの時短レシピをご紹介します。忙しいビジネスパーソンでも実践可能な、仕事も体も整える最適な朝食とは?

第一回のテーマは、「朝食はたんぱく質と糖質の摂取が大切」という最新の王道ルール。二大栄養素を摂るべき理由と、おすすめの朝食について伺いました。

日常の活動クオリティを高めるカギは「筋肉ファースト」にあり

——石本さんは体づくりと栄養素の関係や、朝食の重要性について日ごろから発信されています。朝食を考えるうえで、まず大切なことは何でしょうか?

「日常のパフォーマンスを高めること」「健康寿命を延ばすこと」という、2つの目的を両立させるための栄養摂取です。今、人間の寿命はすごく延びていますが、自立して生活できる「健康寿命」はそれほど延びていません。みなさんが求める「長生き」とは、趣味や旅行も楽しめるくらい元気に生活できる時間のはず。それこそが「健康寿命」なんです。

ですが、このまま医療やAIが進歩して病気がすぐ治る時代になると、平均寿命が100歳になっても寝たきりの人が増えてしまうことが懸念されます。寿命が延びている令和の今だからこそ、健康寿命を延ばす意識を持つことが重要です。

——では、健康寿命を延ばすために必要なことは何でしょうか?

「筋肉」と「代謝」を落とさないこと。そのためには、食事の考え方を“筋肉ファースト”にする必要があります。「お腹が空いたら食べる」「朝ごはんはいらない」というのは“自分ファースト”ですし、最近流行っている「16時間断食」は“細胞ファースト”です。

確かに断食は、オートファジーが発動して細胞が若返るというエビデンスがありますが、一方で代謝と筋肉は圧倒的に落ちる。健康寿命を延ばすという観点の食生活とは、逆行してしまうんですよね。

——つまり、毎日16時間断食して朝食も抜くと、細胞は若いままでも体力は落ちていく、ということですか?

そうです。その結果、「ただ生きているだけ」みたいな時間が延びてしまう。そのため、トータルで考えると、朝食を抜くという選択肢は絶対にナシ。どんなことにもメリットとデメリットがありますが、充実した毎日をより長く続けていきたいと思うなら、朝食は食べるべきです。

筋肉ファーストのために、6時間以上の空腹はNG

——1日の中で食事を摂るタイミングは、自分の生活サイクルに合わせるという考え方でいいのでしょうか?

基本的には、それで構いません。ただ注意してほしいのは、前の食事から「6時間以上」空くと、筋肉は分解を始めてしまうということ。筋肉が一番嫌がるのは、たんぱく質を摂る間隔が空くことなんです。

そのため、夕飯を早い時間に食べる人は、なおさら朝食が必須になります。例えば、19時に夕飯を食べて、翌朝は9時に起きるようなサイクルの人ですね。逆に、夜遅く23時に夕飯を食べた人の方が、朝食を抜いた時のダメージはまだ少ない。また、昼食が遅くなりがちな人の場合、朝食を絶対に食べないと、次の食事まで時間が空きすぎてしまいます。

——やはり朝食は重要ですね。どうしても食事の間隔が6時間以上空いてしまう場合はどうすればいいでしょうか?

そのときは、途中で間食を入れるのもひとつの方法です。コンビニでも手軽に買える「無調整豆乳」や、最近充実しているプロテイン飲料などを1パック飲んで対処するといいと思います。

——在宅勤務やデスクワークが中心であまり動かないため、「お腹が空かないから食べない」という人もいますよね。

デスクワークの人はお腹が空きにくいと思いますが、それは自分の主観であって、筋肉はお腹をすかせています。今、加齢にともなって筋肉量や筋力が低下するいわゆる「サルコペニア」が問題になっていて、40歳を過ぎると年に1%、60歳を過ぎると2%ずつ筋肉量が減ると言われているんです(※公的機関/学会等のデータを基に作成)。筋肉が落ちる条件は「運動不足」と「たんぱく質不足」の2つ。運動不足は運動すれば改善できますが、たんぱく質不足については、空腹の空き具合に関係なく、「食事の間隔を6時間以上空けない」「筋肉に栄養を届ける」ということを意識してください。それが5年後、10年後の自分に大きく響いてきますよ。

※出典:日本サルコペニア・フレイル学会『サルコペニア診療ガイドライン』他