約20年前、すべてが「夢みたい」だった場所へ

溝端氏が今回訪れたのは、17歳のころに撮影で足を運んだ思い出の場所だ。

2006年、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストをきっかけに、複数の芸能事務所との面接を経験。その後、母親とともに上京し、翌月発売の雑誌の表紙撮影に臨んだ。

当時の撮影について、「夢みたいで、これが現実なのかなという不思議な感覚だった」と振り返る溝端氏。10代だった自分には「根拠のない自信」があり、良くも悪くも自信に満ちていたと話す。

それから約20年。さまざまな作品に出演し、壁や挫折、苦悩や葛藤も経験してきた。振り返れば、それらがなければ今の自分はなかったと感じているという。

散歩は、考えを「一回抜く」ための時間

旅の途中、溝端氏は街を歩きながら、自身にとっての散歩についても語る。

部屋にいると、良くも悪くも考えが煮詰まってしまう。そんなときは、街を歩いたり、軽く運動したり、サウナへ行ったりすることで頭を切り替えている。

散歩中も何かを考えてはいるそうだが、ひとつのことに集中するのではなく、景色を見たり風を感じたりしながら、考えていることを「一回抜く」。溝端氏にとって散歩は、思考を止める時間ではなく、少し分散させてクールダウンする時間のようだ。

理想の自分とは違っても、「流れ」に任せてみる

10代や20代のころは、「こんな役をやりたい」「こんな作品に出たい」と思い描く未来もあった。

しかし、俳優として約20年を過ごした今、溝端氏は「理想の自分、描いていた自分と今は違う」としながらも、そこを否定的には捉えていない。

むしろ、「流れに身を任せるという選択肢をしたほうが、新しい景色が見える」と感じているという。

自分の将来を固めすぎるのではなく、今の自分を受け入れ、周囲からもらったチャンスや声に耳を傾けながら、毎年少しずつアップデートしていく。10年後、20年後も決め込みすぎずに生きていきたいと語る。

「歩いてみなきゃわからない景色」がある

普段は車で通ることの多い場所も、実際に歩いてみると印象は変わる。

レインボーブリッジや東京タワー、スカイツリーを眺めながら歩いた溝端氏は、見慣れたはずの場所にもかかわらず、「こんなに景色がきれいだと思わなかった」と驚きを口にする。

そして旅の最後に残ったのが、「歩いてみなきゃわからない景色がある」という実感だった。

将来を決めすぎず、目の前にある流れに少し身を任せてみる――。いつもの場所も、自分の人生も、歩き方を変えれば違って見えるのかもしれない。