ネット通販やアプリの普及により、企業から商品案内やクーポン、広告を受け取る機会は増えている。しかし、興味のある商品であっても、買物で重視する条件はいつも同じとは限らない。そのため、同じ内容の商品案内やクーポン、広告を同じ人が受け取っても、タイミングによって「欲しかった」と思うこともあれば、「今は必要ない」と思うこともある。
博報堂とBrazeの共同研究プロジェクト「カウテックプロジェクト」が同じ生活者3,590人を3回追跡したところ、買物で重視する条件はタイミングによって入れ替わり、9割以上の生活者で何らかの変化がみられた。調査の結果は、生活者が自身の買物で重視する点や、情報収集の方法を考える際の参考にもなるだろう。
企業からの情報「欲しいタイミングで届く」は21.5%
スマートフォンやPCを使用しているときに企業から届く案内やクーポン、広告について尋ねたところ、「受け取りやすい方法で届くことが多い」と感じる人は45.5%だった。
一方、「自分向きのものが届くことが多い」は26.9%、「欲しいタイミングで届くことが多い」は21.5%にとどまった。
企業から情報を受け取る手段については、「受け取りやすい」として比較的評価されている一方、自分に合った内容か、欲しいタイミングかという点では評価が低い結果となった。
同じ人でも買物の重視点は3~4割が入れ替わる
調査では同一の生活者に時期をずらして3回調査を行い、ファッション、外食・テイクアウト、食品・日用品について、購入・利用時に重視する項目がどう変化するかを追跡した。
3回すべてで「重視する」と回答した人の割合を「常時重視率」、調査回によって「重視する/しない」が入れ替わった人の割合を「重視点スイッチ率」と定義している。
普段利用する業態を1つに限定した生活者をみると、ファストファッションのみの利用者では、「コスパのよさ」の常時重視率が55.1%、「着心地の良さ」が53.3%、「丈夫さや長持ちする」が50.7%だった。
一方、重視点スイッチ率は「コスパのよさ」31.1%、「着心地の良さ」33.3%、「丈夫さや長持ちする」35.1%となった。
ファストフードのみ、スーパーのみを利用する人についても、購入・利用時に重視する上位3項目の重視点スイッチ率は3~4割だった。同じ業態を利用していても、買物で何を重視するかは時期によって変わっていた。
「味」「着心地」「コスパ」は一貫して重視
普段利用する業態を限定せず、各カテゴリの利用者全体で集計すると、継続して重視されやすい項目も明らかになった。
常時重視率は、ファッションの「着心地の良さ」が67.0%、外食・テイクアウトの「料理の味がおいしい」が74.3%、食品・日用品の「コスパのよさ」が62.2%だった。
いずれのカテゴリでも、約6~7割が3回の調査を通じて一貫して重視する項目がみられた。
買物の重視点、見た目やサイズ展開などは4割前後が変化
一方、重視するかどうかが時期によって変わりやすい項目もあった。
重視点スイッチ率が最も高かったのは、外食・テイクアウトの「量や形状的にどこでも快適に食べられる」の45.9%。食品・日用品の「デザインや色・見た目の良さ」が43.0%、ファッションの「サイズ展開の豊富さ」が39.8%と続いた。
食品・日用品の「デザインや色・見た目の良さ」は、3回すべてで重視した人が26.0%だった一方、3回のうち一度でも重視した人まで含めると69.0%だった。
1人平均6~7項目が変化、年代による差は小さい
3回の追跡調査を通じて、1人の生活者が「重視する/しない」の評価を変えた項目数は、ファッションで平均6.4項目、外食・テイクアウトで6.9項目、食品・日用品で6.5項目だった。
3カテゴリすべてで「5~8項目スイッチした人」が最も多く、ファッション41.2%、外食・テイクアウト37.3%、食品・日用品41.0%を占めた。1項目も変わらなかった人はいずれも1割未満で、9割以上の生活者に何らかの変化がみられた。
年代別では、変化した項目数はファッションで平均6.0~7.0項目、外食・テイクアウトで6.7~7.1項目、食品・日用品で6.3~6.6項目となり、大きな違いはみられなかった。
一方、企業から届く情報を「とても参考になる」と回答した人では、平均スイッチ項目数がファッション4.7項目、外食・テイクアウト3.6項目、食品・日用品3.6項目となり、全体平均を下回った。
買物における情報収集はタイミングも重要
調査を実施したカウテックプロジェクトでは、生活者の属性などから「誰に」情報を届けるかだけでなく、その時々の状態を捉えて「いつ・何を届けるか」を考える「シンクロナイズ」を提言している。
企業から届く情報を受け取る生活者にとっても、同じ商品であっても、欲しい情報や重視する条件は時期によって変わり得る。普段の買物で、自分がその時々で何を重視しているのか、どのような情報が役立つと感じるのかを振り返ってみてはいかがだろうか。
調査手法:インターネット調査(同一対象者へ時期をずらして計3回実施) 調査地域:全国 対象者:15~69歳の男女 サンプルサイズ:3回目まで回答完了者3,590名(性別×年代×エリアの人口構成比に準拠して回収)/各カテゴリ分析対象は普段利用者(ファッション:2,891名/外食:3,027名/食品・日用品:3,460名) ※分析対象者は、同居家族モニター属性とアンケート回答(1~3回)が一致した人のみ 調査ボリューム:各回20問 調査時期:2026年3月6日~3月17日 調査主体:博報堂・Braze 調査実施機関:インテージ






