台風や大雨で車が水没した場合、「補償範囲を絞ったエコノミー型の車両保険では対象外」と思っている人もいるかもしれない。セレクトラ・ジャパンが自家用車を保有・運転する2,349人を調査したところ、そう考える人は42.1%、わからない人は37.2%で、一般的な補償内容を正しく認識していたのは20.7%だった。過去10年以内に風水害などで車の被害を経験した人も12.5%に上る。車両保険は商品や契約条件によって補償範囲や名称が異なるため、自分の契約内容を確認しておくことが重要になる。被害額や保険金請求の実態、被害後に始めた対策、未請求の保険金を後から請求できる期間についてみていく。
エコノミー型でも水没が補償対象となるケースが一般的
自動車を運転する2,349人に、「エコノミー型(車対車+A)の車両保険では、台風・洪水による水没は補償されない」との説明を一般的な認識として正しいと思うか聞いた。
「そう思う」は42.1%(988人)、「わからない」は37.2%(874人)で、「そう思わない」は20.7%(487人)にとどまった。
台風や洪水による車の水没は、一般型の車両保険だけでなく、「車対車+限定A」など補償範囲を限定したエコノミー型でも補償対象となるケースが一般的だという。
セレクトラ・ジャパンが2026年9月1日時点で損害保険会社各社の公式情報を確認したところ、確認したエコノミー型の車両保険では、台風・洪水・高潮による損害が補償対象となっていた。
ただし、補償範囲は保険会社や契約内容によって異なる。「車対車+限定A」「車対車・限定危険」「エコノミー車両保険」など名称も統一されていない。地震・噴火、またはこれらによって発生した津波による損害については、特約を付帯していない限り、通常の車両保険では補償されないのが一般的だ。
過去10年以内の被害経験は12.5%、約8人に1人
過去10年以内、2016年以降に台風・大雨・強風などで自家用車が被害を受けた人は293人で、全体の12.5%だった。
被害内容では、「強風による飛来物が当たって破損」が88人(30.0%)で最多。「台風・大雨が原因の事故」が71人(24.2%)、「駐車中に浸水・冠水して水没」が68人(23.2%)、「ひょうで車体・ガラスが損傷」が65人(22.2%)と続いた。
水没・浸水に関する4項目のいずれかを経験した人は153人で、被害経験者の52.2%を占めた。
被害時に車両保険なし・任意保険未加入は計14.3%
被害経験者293人に、被害を受けた当時の任意保険の契約内容を聞いた。
車両保険の「一般型」を付帯していた人は120人(41.0%)、「エコノミー型」は64人(21.8%)だった。「車両保険は付帯していたが型がわからない」は32人(10.9%)だった。
一方、車両保険を付帯していなかった人は29人(9.9%)、任意保険に加入していなかった人は13人(4.4%)で、合わせて42人(14.3%)となった。契約内容を把握していない人も35人(11.9%)いた。
被害総額10万円以上が52%、100万円以上も6人
被害経験者のうち50人を対象にした追加調査では、被害への対応にかかった総額が10万円以上だった人は26人(52%)だった。このうち50万円以上が12人、100万円以上が6人となっている。
実際に自分や世帯が負担した金額が0円だった人は14人で、自己負担が10万円以上だった人は10人だった。
保険金を請求して受け取った32人では、自己負担0円が13人、10万円以上が4人だった。一方、車両保険を付けていなかった7人では、5人が10万円以上を自己負担していた。
なお、本調査は50人と回答者数が限られており、割合の誤差が大きいため、調査元では実数も併記している。
車両保険を付けていても22%が保険金を請求せず
追加調査の50人のうち、保険金を請求し受け取った人は32人(64%)だった。
車両保険を付けていた41人に限ると、9人(22%)が保険金を請求していなかった。
請求しなかった理由は、「修理費が少額だった」が6人、「翌年の保険料が上がるのを避けた」が2人、「請求の仕方が分からなかった・手続きが面倒だった」が1人だった。
残る内訳は、車両保険を付けていなかった7人、任意保険に加入していなかった1人、「覚えていない・分からない」1人となっている。
被害後、「冠水しやすい道を避ける」が最多
台風や大雨が近づくと分かっているときの行動について、被害を受ける前後で変化があったかも調べた。
被害後に始めた行動で最も多かったのは「冠水しやすい道を避ける/出かけない」で15人(30%)。「自分の車両保険の補償内容を確認する」が14人(28%)、「気象情報やハザードマップを確認する」が11人(22%)と続いた。
被害を経験してから初めて車両保険の補償内容を確認するようになった人が、4分の1以上いたことになる。
未請求の保険金、請求できる期間は原則3年
車両保険を付けていたものの、補償対象だと知らずに保険金を請求していなかった場合について、藤垣法律事務所代表の藤垣圭介弁護士が解説している。
藤垣弁護士によると、保険金を請求できる期間は原則として、保険金を請求できるようになった時から3年間。台風や大雨で車が水没したケースでは、多くの場合、事故が発生して車に損害が生じた時から3年と考えることになるという。
「自分の保険では補償されないと思っていた」といった事情だけで、3年という期間の進行が止まるわけではないとしている。
過去に被害を受けたものの保険金を請求していない場合は、事故当時の保険内容を確認し、保険会社や代理店へ相談することを勧めている。また、時間が経過すると損害と事故との関係を確認しにくくなるため、被害状況の写真や修理の見積書、整備記録などを残しておくことも大切だとしている。
思いがけない災害に見舞われる前に、あらかじめ保険証券や契約画面で車両保険の有無と補償範囲を確認しておきたい。過去に被害を受けて未請求の場合は、事故当時の契約内容や写真、見積書などを確認し、保険会社や代理店へ相談することも選択肢になる。
調査期間:2026年8月28日(スクリーニング調査)/2026年9月2日(本調査) 調査対象:全国の20歳以上69歳以下の男女3,000人。うち自家用車を保有・運転する2,349人を集計対象。本調査は被害経験者50人 調査方法:インターネット調査 調査機関:アイブリッジ ※調査会社のインターネットパネルを利用。割付条件に世帯年収400万円以上が含まれるため、回答者の構成は日本の運転者全体と一致しない。本調査(n=50)は回答者数が限られるため実数を併記。補償内容・特約の適用条件は保険会社・始期日・契約条件によって異なる。





