米の価格が下がれば、日々の買い物をする消費者には負担軽減になる。ただ、その価格が農家にとって生産を続けられる水準かは別の問題だ。雨風太陽によると、令和8年産米では小売価格に下落の動きがみられるほか、一部産地では生産者に支払われる概算金も前年産を下回っている。今回の調査では、生産者の9割超が前年からのコスト増を実感する一方、消費者の60.0%は米価の下落を歓迎した。さらに、消費者が無理なく買い続けられると考える価格と、生産者が米づくりを続けるために必要と考える価格には一定の差がみられた。米を買う側と作る側で、価格をどう捉えているのかをみていく。
生産者の91.2%が前年からのコスト増を実感
産直アプリ「ポケットマルシェ」を運営する雨風太陽が、登録する米生産者34名に調査したところ、米の生産にかかるコストが前年と比べて「大きく増えている」は52.9%、「やや増えている」は38.2%だった。同社は、合わせて91.2%がコスト上昇を実感したとしている。
負担が増えている項目を聞いた生産者31名では、「肥料」が83.9%で最多。「農機具・設備・修繕費」77.4%、「燃料・電気」61.3%が続いた。
令和8年産米の概算価格、回答した19名全員が「見合っていない」
概算金とは、JAなどが生産者から米を集荷する際に支払う仮渡金のことだ。販売価格や経費の見込みなどをもとに設定され、その後、販売の見通しが立った段階で追加払いが行われる。
令和8年産米について、すでに概算価格が示され、その価格を評価できた生産者19名では、「まったく見合っていない」が73.7%、「あまり見合っていない」が26.3%となり、全員が生産コストや労力に見合っていないと回答した。
一方、令和7年産米の概算価格については、「十分に見合っている」が38.7%、「ある程度見合っている」が32.3%で、合わせて71.0%だった。
生産継続に必要な価格、65.6%が5kg税別3,500円以上
今後も米の生産を続けるために必要だと考える店頭販売価格を生産者32名に聞いたところ、精米5kg税別で「3,500円以上~4,000円未満」が31.3%で最多だった。
3,500円以上の価格帯を合計すると65.6%となった。自由回答では、生産を継続できる価格の必要性や、米価下落による今後の生産への懸念、概算金と小売価格の違いへの理解を求める声が寄せられた。
消費者の60.0%は米価下落を歓迎
ポケットマルシェユーザー1,549名に米価の下落について聞いたところ、「とても歓迎している」が31.2%、「どちらかといえば歓迎している」が28.8%で、合わせて60.0%だった。
一方、「どちらかといえば不安・懸念を感じる」は11.5%、「とても不安・懸念を感じる」は3.6%で、合わせて15.1%となった。
米を購入するときに最も重視する項目では、「価格」が28.7%で最多。「品種・銘柄・知名度」24.5%、「食味・食感」23.2%と続いている。
「無理なく買える価格」と生産継続に必要な価格に差
消費者が今後も無理なく購入し続けられると考える精米5kg税別の価格は、「3,000円以上~3,500円未満」が22.3%で最多となった。「2,500円以上~3,000円未満」が22.1%で続く。
一方、生産者では65.6%が、生産を続けるために3,500円以上が必要と回答しており、買う側が無理なく負担できると考える価格と、作る側が生産継続に必要と考える価格には一定の差がみられた。
82.4%が「生産について知ると価格への見方が変わる」
価格を重視する消費者が多い一方、生産者本人から米づくりへのこだわりや生産背景、抱えている課題などを知ることで、「米の価格に対する見方がある程度変わると思う」は53.3%、「大きく変わると思う」は29.1%だった。合わせて82.4%となる。
また、こうした情報を知った場合、「普段購入している米より価格が高くても購入したい」とする回答は74.9%だった。
雨風太陽は今後、ポケットマルシェ上で米に関する特集や消費者向け施策を行い、生産現場の情報発信と米の販売促進を強化するとしている。
米を選ぶ際は、価格だけでなく、産地や栽培方法、生産者が発信する生産背景にも目を向けてみたい。今回の調査は、家計の負担感と、生産を続けるために必要な価格の双方を知る手がかりになる。
調査概要 <生産者調査> 調査対象:ポケットマルシェ登録の米生産者 調査期間:2026年8月15日~8月19日 調査方法:インターネット調査 有効回答数:34名
<消費者調査> 調査対象:ポケットマルシェユーザー 調査期間:2026年8月15日~8月19日 調査方法:インターネット調査 有効回答数:1,549名





