*前編「『こどもNISA』から考える、子どもの未来と、お金のこと。」はこちらから。
2027年1月から始まる「こどもNISA」。子ども名義の口座を運用することを通して、子どもと親がお金や投資について学び、金融リテラシーが身に付くことにも期待が集まっている。その始め方やポイントについて、SBI証券で金融教育に携わる小川正美さん、田嶋恵理子さん、谷健一郎さんが解説。
【Point】
・買い物やニュースなど、金融教育の教材は日常にたくさんある。
・値下がりも含め、投資の経験そのものが社会を知るきっかけに。
・こどもNISAは、家族のコミュニケーションツールになる。
投資信託でも「どんな企業に投資しているか」は見える。
こどもNISAは、前編で見てきたように、長期・積立・分散投資に適した投資信託が投資対象となる。「個別株を選べないなら、金融教育には繋がりにくいのでは?」と思うかもしれない。けれど、投資信託も目論見書や運用報告書などを見れば、どのような企業に投資しているのかを調べることができる。
「自分が持っている投資信託には、どんな企業が入っているんだろう?」そんなところから、子どもと一緒に調べてみてもいい。さらに、個別の企業や株式そのものに興味を持ったら、こどもNISAとは別に、親権者の同意のもと子ども名義の証券口座を開設し、個別株を経験するという選択肢もある。
小川正美さんは、子ども自身のお年玉などを使って、少額から企業への投資を経験することも金融教育になり得ると話す。
「企業を選ぶことは、その企業が経済のなかでどんな役割を担っているのかを知ることでもあります。将来、就職するときにどんな企業を選ぶかにも繋がってくる。社会を見るきっかけになると思います」
投資を「お金を増やす手段」だけで終わらせず、企業や社会を知る入口にする。そこに、子どもが投資を経験する大きな意味がありそうだ。
親が金融に詳しくなくても大丈夫。
自分自身がきちんと理解していないのに、子どもに教えられるのだろうか……と不安を覚える人もいるだろう。田嶋恵理子さんは、「親が金融の専門家になる必要はない」と話す。大切なのは、正しい答えを教えることよりも、日々の暮らしのなかにある「なぜ?」を、親子で一緒に考えてみることだ。
たとえば、いつも買っているお菓子の値段が上がった。ポテトチップスのパッケージが白黒になった。ニュースで「円安」という言葉を聞いた――など、子ども自身の日常と結び付く話題から、「どうしてだろう?」と親子で会話をすることで十分なのだと言う。
「買い物をしているときでも、一緒にニュースを見ているときでもいい。わからなければ一緒に調べてみる。親が金融に詳しくなくても、日常のなかで世の中の動きについて会話をすることが、とても重要だと思います」
円安になれば、どんな企業が困り、どんな企業には追い風になるのか。ものの値段はなぜ変わるのか。そんな会話に展開するおもしろさから、社会を見る目も少しずつ変わっていく。
「2022年から続いているロシアによるウクライナ侵攻。そしていまであれば、アメリカとイランが中東で紛争状態になって原油価格が大きく上がっていますよね。世界の動きが日本のインフレにどう関わるのか。日頃目にするニュースを、自分の投資先や資産と結び付けて考えられるようになるんです」と谷さんも強調する。
金融教育とは、投資のテクニックを教えることではなく、お金を入り口に、社会の仕組みに興味を持つことでもある。そう考えれば、ぐっと身近になるはずだ。
