集中力が続かない、朝がつらい、気分が晴れない……。40代を過ぎたころから、以前のようにがんばれない、と感じることはないだろうか。
その変化を、多くの女性たちは「意欲がなくなった」「体力が落ちた」などと受け止める。
けれどそれが、更年期による影響なのだとしたら?
仕事を続けながら、この年代特有の心身の揺らぎとどう折り合っていくか。睡眠を軸に働く更年期世代のヘルスケアに取り組む、パラマウントベッドの経営企画本部・大槻朋子さんに聞いた。
【Point】
・「自分は健康」と思っていても、更年期世代の女性の多くが不調を抱えている。
・昇進意欲をもっていても、挑戦を迷わせてしまう要因のひとつが「体調不安」。
・変わりゆく身体のなかで、「睡眠」は自らの意思で整えられる数少ない領域。
自分の不調に気づけない、働く女性たち。
更年期世代を対象にした法人向け睡眠改善プログラムの開発など、女性のヘルスケア支援に取り組んできた大槻朋子さん。働く45〜55歳の女性2,000名を対象とした大規模調査で見えてきたのは、女性たちが抱える不調と、自分の体調認識との大きなズレだった。
「『あなたは健康ですか』という問いに、『健康だ』と答えた人は約7割。ところが世界共通の不眠尺度で計測すると、7割以上いたのです。こうした体調認識のズレは、更年期症状でも同様でした」
健康だと思っているだけで、実際は不調を抱えたまま働いている女性が多数いる。その背景には、女性特有の事情がある。
「月経を迎えてから、女性にとって体調が揺らぐことは生活の前提になっている。だから不調をやり過ごしてしまいやすいんです」

2,000人の女性を対象とした調査において、8項目の質問に基づいて不眠度を測定する世界標準の不眠症自己評価尺度「アテネ不眠尺度」では、7割以上の人が睡眠の不調を抱えていることが判明。
*パラマウントベッド「Silent SHIFT 見落としてきた人的資本の機会損失(https://www.paramount.co.jp/pbcsys/wp-content/uploads/2026/06/silent-shift-human-capital-loss-report.pdf)」をもとに作成
更年期の眠りに影響を与える、ホルモンの揺らぎ。
自覚されにくい不調のなかでも、「睡眠の不調」は更年期世代の多くが抱える代表的な症状だ。更年期とは閉経前後の約10年間を指すが、日本人女性の平均的な閉経年齢50歳前後を基準にすると、45〜55歳がその時期にあたる。この間、卵巣機能の低下によってホルモンバランスは大きく変化する。
「女性ホルモン・エストロゲンがジェットコースターのように急激に落ちていきます。単純に落ちるだけならまだしも、揺らぎながら落ちていくので、ホルモンを出す視床下部の近くにある自律神経なども混乱してきます」
自律神経が乱れれば、睡眠の体内時計も影響を受ける。寝つきの悪さ、中途覚醒、朝の目覚めのつらさ。ホットフラッシュによる大量の発汗で目覚めてしまうこともある。
「悩みのない人のほうが少ないのでは、というのが調査した実感です」
