日本で働く外国人は増えており、厚生労働省の「外国人雇用状況」によると、2025年10月末の外国人労働者数は約257万人と初めて250万人を超えた。採用後に長く働いてもらうには、本人の日本語学習だけでなく、職場や生活面でどこにつまずきやすいかを知ることも重要だ。
スタッフサービス・ホールディングスが、在留歴5年未満かつ日本での就業歴3年未満の外国人500人を調査したところ、86.0%が今後も日本で働きたいと回答。一方、仕事では日本語でのコミュニケーション、生活では行政・保険・税金などのルールや手続きが最大の困りごとだった。外国人材を採用する企業や、外国人と一緒に働く人にとって、定着支援を考える材料となる。
今後も日本で働きたい外国人は86.0%
今後も日本で働きたい意向を持つ人は全体の86.0%で、このうち「とても働きたい」は28.6%、「まあ働きたい」は57.4%だった。
就業開始時期別では、日本で働いて「1年以上2年未満」が92.4%、「2年以上3年未満」が92.9%と、いずれも9割を超えている。
【設問】あなたは今後も日本で働きたいと思っていますか。在留期限は考慮せず、ご自身の率直なお気持ちで教えてください。あてはまるものをひとつお選びください。
今後も日本で働きたい理由では、「自国や他国と比べて収入がいいから」が39.3%で最多となった。「自国や他国と比べて生活環境がいいから」が39.1%、「自国や他国と比べて就業機会が多いと感じたから」が33.7%と続く。
【設問】あなたが今後も日本で働き続けたいと思う理由は何ですか。あてはまるものをすべて教えてください。
今後、日本で働きたいと思わない理由は「企業文化・風土」52.9%
一方、今後日本で働きたいと思わない70人に理由を聞くと、「自国や他国の方が企業の文化や風土(チームワークなど)が魅力的だと感じたから」が52.9%で最多だった。
次いで「自国や他国の方が収入がいいから」が45.7%、「自国や他国の方が宗教や文化の違いに寛容だから」が44.3%となった。
【設問】あなたが今後日本で働きたいと思わない理由は何ですか。あてはまるものをすべて教えてください。
現在の仕事、74.4%が「スキルや経験を活かせる」
現在の仕事については、「自分のスキルや経験を活かせる」と感じる人が74.4%、「新しい知識やスキルを身につけられる」が74.0%、「仕事内容にやりがいを感じる」が72.0%だった。
【設問】あなたは今の仕事についてどう思いますか。以下のそれぞれについて、あてはまるものをひとつ選んでください。
日本語能力試験N3相当以上が87.8%、一方で64.6%が仕事の日本語に困る
日本で働いていて困ったことでは、「日本語でのコミュニケーションが取りづらい/取れないこと」が38.2%で最も多かった。次いで「上司や同僚との関係を構築すること」が37.4%、「給与アップが見込めないこと」が36.0%だった。
【設問】あなたが⽇本で働いていて、困ったことや難しいと感じたことはありますか。
日本語レベルについては、全体の87.8%が日本語能力試験のN3相当以上と回答している。N3相当は、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できるレベルを指す。N1相当と回答した人も23.8%だった。
【設問】あなたの日本語レベルはどれくらいですか。あてはまるものをひとつお選びください。
一定の日本語力がある人が多い一方、「今の日本語力で仕事において困ることがある」とした人は64.6%。「とてもある」が16.4%、「しばしばある」が48.2%だった。
【設問】あなたの今の⽇本語⼒で仕事において困ることはありますか。あてはまるものをひとつお選びください。
自由回答では、敬語の使い分けや現場専用の略語、早口の日本語、職場の暗黙のルールなどへの戸惑いも挙がっている。日常会話ができることと、職場で専門的な内容や暗黙のルールまで理解してやり取りすることには違いがあることがうかがえる。
【設問】これまで⽇本で働いていて、困ったことや難しいと感じたことはありますか︖どのようなことでも結構です。ご⾃由にご記載ください。
96.6%がスキルアップに取り組む
仕事でのスキルアップに向けて「特に何もしていない」と回答した人は3.4%で、96.6%が何らかの取り組みを行っていた。
最も多いのは「日本語(会話・読み書き)の勉強をしている」の49.8%。「先輩や上司から学ぶようにしている(質問・相談)」と、「仕事に必要な知識やスキルを自分で本やインターネットなどで学習している」が、いずれも44.0%だった。
【設問】今後も日本の職場で働き、スキルアップをするために、今ご自身で取り組んでいることを教えてください。
職場や会社に求める支援では、「日本語やビジネスマナーなどの学習機会」が45.6%で最多。「専門スキルを身につけるための学習機会」が44.0%、「生活(住まいや各種手続きなど)に関するサポート」が40.2%と続いた。
日本で働いて1年未満の人では、「一時帰国などに対応できる長期休暇制度」が54.2%で最も高かったほか、「生活に関するサポート」は51.4%、「宗教的慣習への配慮」は45.2%だった。
【設問】あなたが仕事を続ける上で、職場や会社にあるといいと思う支援を教えてください。
生活面の困りごと、最多は「日本のルールや手続き」42.8%
日本での生活面で困ったことや不安に思ったことでは、「日本のルールや手続き(行政・保険・税金など)」が42.8%で最多となった。
「生活費(家賃・物価など)」が40.2%、「住まい(家賃・契約・入居)」が34.6%、「病院や医療機関の利用」が34.4%、「周囲や地域からの孤立」が31.8%と続く。
【設問】あなたやあなたの家族が⽇本で暮らしていて、生活面で困ったことや不安に思ったことはありますか。あてはまるものをすべてお選びください。
また、日本で働き続けるうえで生活環境を「とても重要」「まあ重要」とした人は81.8%だった。今後も日本で働きたい人に限ると86.7%に上っている。
【設問】あなたやあなたの家族が⽇本で働き続けるうえで、生活環境はどの程度重要だと感じますか。あてはまるものをひとつお選びください。
日本語学習だけでなく、行政や保険、税金、住居など、働くことと生活することをまたぐ支援も、外国人が日本で働く環境を考えるうえで重要な要素となっている。
外国人材を受け入れる企業では、日本語研修に加え、職場独自のルールや専門用語の説明、行政・保険・税金など生活面の支援も含め、入社後にどこで困りやすいかを確認したい。本人の学習と職場側の支援の両面から、働き続けやすい環境を考えることが大切だ。
出典:スタッフサービス・ホールディングス調べ











