「静かな退職」は実際に会社を辞めることではなく、在籍しながら仕事への意欲を持たず、必要最低限の業務にとどめる働き方を指す。仕事への向き合い方が変わったとき、本人だけでなく、上司や人事にとっても背景をどう捉え、職場改善につなげるかが課題になる。

組織力向上ソリューションを提供するクレオは、20~50代の会社員500人を対象に、「静かな退職」と、職場への信頼や働きがいなどを把握する「従業員エンゲージメント調査」の実態を調べた。「静かな退職」に対する共感の広がりに加え、従業員エンゲージメント調査の有用性に対する評価の差もみられた。働く側には自分の職場との関係を考える材料となり、人事・管理職には調査後の改善策を見直す手掛かりとなる結果だ。

「静かな退職」経験者27.4%、未経験でも37.2%が共感

調査では、「静かな退職」を過去に経験したことがある人が9.2%、現在経験している人が18.2%だった。合わせて経験者は27.4%となる。

一方、経験したことはないものの「共感する」とした人は37.2%だった。経験者と共感者を合わせると64.6%となり、「経験したことはないし、共感もしない」の35.4%を上回った。

静かな退職を経験した人に、そのきっかけや理由を複数回答で聞いたところ、最多は「仕事の成果に対して、適切に評価されていないと感じたため」の29.2%だった。「心や体が疲れてしまったため」が28.5%、「仕事はそこそこに、プライベートや家庭を最優先したいと考えるようになったため」が27.0%、「どれだけ頑張っても、昇進の望みが薄いと感じたため」が24.1%と続いた。

未経験だが共感する人では、「プライベートや家庭を最優先したい」が30.7%、「給与や手当などに不満があった」が30.1%と高かった。

また、静かな退職を経験した人に、職場への熱意や信頼を取り戻せると思うかを聞いた。過去の経験者では71.7%、現在経験している人では57.1%が、「静かな退職の原因に対し、会社が適切に対処すれば取り戻せると思う」と回答した。

勤務先でエンゲージメント調査、50.0%が「実施」 46.4%は有用性を実感せず

従業員エンゲージメント調査は、職場への信頼や働きがいなど、従業員と組織の関係性を把握するために行われる調査である。

勤務先でエンゲージメント調査を実施していると答えた人は50.0%だった。内訳は「1年に3回以上」5.6%、「1年に2回以上」12.8%、「1年に1回」27.4%、「2年に1回」2.2%、「3年に1回未満」2.0%となっている。

実施していると回答した250人に、調査が「働く環境の改善」や「やりがいの向上」に役立っていると思うかを聞くと、「役に立っていない」が16.8%、「あまり役に立っていない」が29.6%だった。合わせて46.4%が有用性を実感していなかった。

役に立っていない、またはあまり役に立っていないとした116人に理由を複数回答で聞いたところ、「『調査を実施すること』自体が目的になっているように感じるから」が29.3%で最多だった。

「会社から、結果に対する具体的な改善策が示されないから」と「回答しても、どうせ会社や組織は変わらないと諦めているから」がともに27.6%、「調査結果がその後の『働きやすさ』改善につながっていないから」が25.0%と続いた。

現在の職場を友人・知人にすすめたい人は11.2%

現在の職場を親しい友人や知人にどの程度すすめたいかを0~10点で聞き、eNPSの算出基準に沿って分類したところ、9~10点の「推奨者」は11.2%、7~8点の「中立者」は16.8%、0~6点の「批判者」は72.0%だった。

就業意識にも差がみられた。「今の職場で貢献したい」に「あてはまる」と答えた割合は、推奨者64.3%、中立者31.0%、批判者6.2%。「今の職場は年々企業として成長していると思う」では、それぞれ64.3%、26.2%、5.4%だった。

「5年先も今の職場に勤めていると思う」では、推奨者67.9%、中立者34.5%、批判者12.3%となった。

高エンゲージメント企業は「個」「組織」「顧客」すべてに熱心に取り組むとみられている

「個の視点」「組織の視点」「顧客志向の視点」の3領域について、勤務先が各項目にどの程度熱心に取り組んでいるかを聞いた。「熱心に取り組んでいる」「やや熱心に取り組んでいる」を合わせた割合は、推奨者では「仕事の充実」92.9%、「自己成長の機会」89.3%、「報酬・待遇」89.3%など、「個の視点」に関する項目で高い割合がみられた。

「組織の視点」では「人材育成」92.9%、「流動性」94.6%、「企業方針」91.1%など、「顧客志向の視点」では「顧客対応力」89.3%、「生活者視点」87.5%となり、いずれも全体の回答割合を上回った。

仕事への意欲が下がっていると感じる人は、評価、疲労、働き方、待遇など、何が背景にあるのかを整理してみたい。人事や管理職は、調査を実施して終わらせず、結果の共有や具体的な改善策まで示せているかを確認してみよう。

調査概要
調査対象:20~50代の会社員(派遣・契約社員、公務員、自営業、パート・アルバイトを除く)
調査人数:500人
調査期間:2026年7月10日~7月13日
調査方法:インターネット調査
調査実施:クレオ