入社して間もない若手社員にとって、新しい業務を覚え、限られた時間で仕事を進めることは簡単ではない。思うように成果が出ないとき、自分には今の仕事が向いていないのではないかと考えることもあるだろう。

こうした悩みは、仕事への適性だけでなく、経験の浅さや業務量、職場で受けられる支援とも関わっている可能性がある。若手社員本人はもちろん、育成を担当する上司や人事担当者にとっても重要なテーマだ。

TCDの調査研究ユニット「Culture Insight Lab」が、全国の新卒1~3年目の正社員459人を対象に調査したところ、9割超が入社後に「この仕事は自分に向いていない」と考えた経験があると回答した。仕事への不安が生じる理由や、上司との対話による意識の変化をみていく。

新卒1~3年目の9割超が仕事への適性に不安

現在の会社に入社してから「この仕事は自分に向いていない」と真剣に考えたことがあるかを尋ねたところ、「頻繁にある」が22.2%、「時々ある」が47.9%、「一度くらいはある」が22.9%だった。

3つを合わせると9割を超える結果となった。

仕事に向いていないと一度でも考えたことがある427人に、その最大の理由を尋ねたところ、「覚えるべき業務量や知識が多すぎて、仕事についていけないと感じるから」が28.1%で最多だった。

次いで「予定通りに仕事を終わらせるなど、自身のスケジュール管理に問題を感じるから」が24.4%、「自身のアウトプットのクオリティが低いと感じるから」が12.9%となった。

一方、「実際に業務を経験してみて、やりがいを感じないから」は2.8%、「実際に業務を経験してみて、仕事内容そのものに興味や関心が持てないから」は2.6%だった。

仕事への適性に不安を感じる理由として、業務量やスケジュール管理に関する負担が上位に挙がっている。

約9割が自主的に行動するも、半数以上は状況が変わらず・悪化

仕事に向いていないと考えた経験がある427人に、状況や気持ちを打破するために自主的な工夫や行動をしたかを尋ねた。

最も多かったのは「業務に関する本を読む、資格勉強をするなど、時間外にインプットを増やした」で28.6%。次いで「上司や先輩に『上手くいかない』『教えてほしい』と、自分から相談や発言をした」が26.5%、「先輩や成果を出している人の仕事の進め方を観察し、真似してみた」が23.9%だった。

また、「『最初は出来なくて当然』と割り切り、まずは目の前の小さなタスクを完璧にこなすことに集中した」は20.8%だった。

一方、「状況を打破するための自主的な工夫や行動は、特に何もしていない」は11.9%だった。

自身の工夫や行動によって、状況や気持ちが好転したかについては、「かなり好転した(悩みが解消された)」が11.0%、「やや好転した」が33.5%で、合計44.5%だった。

一方、「変わらない」が42.4%、「やや悪化した」が8.9%、「著しく悪化した(さらに状況や気持ちが追い詰められた)」が4.2%となり、合計55.4%が状況の改善を実感していなかった。

若手社員の多くが自主的に改善を試みているものの、必ずしも不安の解消につながっていないことがうかがえる。

上司に相談した若手は62.5%、相談後の定着意欲にも変化

仕事に向いていないと悩んだ際、上司にその気持ちを相談したかを427人に尋ねたところ、「頻繁に(3回以上)相談した」が17.1%、「1~2回程度相談した」が45.4%だった。

相談経験者は合わせて62.5%となった。

一方、「相談したかったが、していない」が19.4%、「上司に相談しようと思わなかった」が18.0%だった。

上司に相談した267人に、対話を経て仕事へのモチベーションが高まったかを尋ねたところ、「非常に高まった」が18.4%、「やや高まった」が36.3%で、合計54.7%だった。

「変わらない」は27.3%、「やや下がった」は13.9%、「著しく下がった」は4.1%となった。

同じ267人に「この会社で働き続けたいという気持ち」が強くなったかを尋ねたところ、「非常に強くなった」が18.7%、「やや強くなった」が41.9%で、合計60.6%だった。

一方、「変わらない」は28.5%、「やや弱くなった」は8.2%、「著しく弱くなった」は2.6%だった。

上司に相談した若手社員の約6割が、対話後に働き続けたい気持ちが強くなったと回答している。

求める支援は「優先順位付けや効率化についてのアドバイス」が最多

仕事に向いていないと考えた経験がある427人に、どのようなサポートや状況があれば前向きに乗り越えられると思うかを尋ねた。

最多は「業務の優先順位の付け方や、効率化のテクニックを具体的にアドバイスされる」で35.1%だった。

次いで「成果物のどこをどう修正すべきか、具体的な改善点を指導される」が26.5%、「業務の量や難易度を下げるなど、慣れるまでのステップを用意してくれる」が25.3%となった。

また、「『最初はみんな出来なくて当たり前』と、上司自身の過去の失敗談を共有してくれる」は18.3%、「成果だけでなく、日々の工夫や努力といったプロセスを認めてくれる」は12.4%だった。

若手社員は精神的な支えに加え、業務の進め方や改善点を具体的に示す実務的な支援を求めている。

「向いていない」と感じたときは、まず何が負担になっているのかを書き出してみたい。覚えることの多さなのか、時間の使い方なのか。原因が見えれば、上司に相談する内容も具体的になる。育てる側も、困りごとを一度聞いて終わりにせず、優先順位や直す箇所を日々の会話の中で伝えていきたい。

調査概要 調査名:若手の早期離職リスクと定着コミュニケーションに関する調査 調査主体:TCD Culture Insight Lab 調査対象:従業員数20人以上の会社・団体に勤務する、新卒入社1~3年目の30歳以下の若手正社員459人 調査期間:2026年6月25日~7月22日 調査方法:インターネット調査(Questant) 調査内容:若手社員の仕事への意識、仕事への適性不安、自主的改善行動、上司への相談およびフィードバックの有効性