人事評価に不満を感じたとき、それを会社に伝えているだろうか。昇給や昇格に関わる人事評価は、働く人にとって自分の成果や努力がどう認められているかを知る機会でもある。しかし、評価の基準が分からなかったり、結果が給与に反映されなかったりすれば、納得しにくいこともあるだろう。
パーソルキャリアが運営する調査機関「Job総研」は、全国の20~50代の社会人男女476人を対象に「2026年 人事評価の実態調査」を実施した。評価への不満とその理由、会社への相談状況、転職意向に加え、AIを活用した人事評価への意識を調べている。
人事評価の結果と報酬が「見合っていない」と回答した人は45.5%
回答者全体476人に、勤務先に人事評価制度があるかを聞いたところ、「ある」が81.3%、「ない」が18.7%だった。
勤務先に人事評価制度があると回答した387人に、評価結果と実際の報酬が見合っていると思うかを聞くと、「見合っていない派」が45.5%となった。
内訳は「全く見合っていない」が7.5%、「見合っていない」が10.6%、「どちらかといえば見合っていない」が27.4%だった。
評価制度が設けられていても、その結果が給与や賞与などの報酬に十分反映されていると感じるかどうかは、別の問題となっている。
人事評価に73.0%が不満を経験 最多は「評価の基準」59.7%
勤務先に人事評価制度があると回答した387人に、評価に不満を感じたことがあるかを聞いたところ、「ある派」は73.0%だった。
内訳は「よくある」が18.3%、「ある」が25.8%、「どちらかといえばある」が28.9%となった。
不満を感じた経験がある283人に、その内容を複数回答で聞いたところ、最多は「評価の基準」の59.7%だった。
次いで「評価する人やその主観」が49.8%、「評価結果の説明や過程」が31.8%と続いた。
さらに、不満を感じた具体的な理由では「評価基準が不透明」が46.6%で最も多く、「上司の主観で決まる」が38.9%、「上司が自分を見ていない」と「努力や成果と報酬が見合わない」がいずれも34.6%だった。
こうした回答から、評価の結果だけでなく、どのような基準で、誰がどのように判断しているのかも不満の対象となっていることが分かる。
不満を会社に伝えていない人は69.2%、改善された人は4.6%
人事評価に不満を感じた経験がある283人に、その不満を会社側に伝えたことがあるかを聞いたところ、「伝えていない派」が69.2%を占めた。
不満を伝えていない理由では「伝えても変わらないと思うから」が42.4%で最多だった。一方、「伝えて改善された」と回答した人は4.6%にとどまった。
不満を抱えていても、会社に伝えることで状況が変わると期待できず、相談や改善の働きかけに至っていない人がいることがうかがえる。
不満が「解消されていない」は47.7% 転職による解消が会社の対応を上回る
人事評価に不満を感じた経験がある283人に、これまでの不満が解消されているかを聞くと、「解消されていない」が47.7%で最多だった。
一方、不満が解消されたきっかけでは「転職によって」が16.3%となり、「上司や会社が対応してくれた」の9.9%を上回った。
また、回答者全体476人に、現在の勤務先で人事評価による昇給・昇格を待つか、転職によって昇給・昇格をめざすかを聞いたところ、「待つ派」が52.9%、「転職派」が47.1%となった。
現在の職場で昇給・昇格を待つか、転職を選ぶかについては回答がほぼ二分している。
昇給を待つ理由は「転職がうまく行くか不安」50.4%
現在の職場で昇給・昇格を待つと回答した252人に、その理由を複数回答で聞いたところ、「転職がうまく行くか不安」が50.4%で最多となった。
次いで「今の職場の環境が良い」が38.9%、「勤続年数が有利になる」が28.6%だった。
一方、転職を選ぶと回答した224人の理由では、「待っても評価は変わらないと思う」が58.0%で最多となった。
続いて「転職の方が年収が上がる」が41.5%、「今の会社の昇給額が小さい」が32.1%だった。
現在の職場にとどまる人は転職への不安や職場環境を重視する一方、転職を選ぶ人は評価が変わらないことや、年収面を理由として挙げている。
人事評価をきっかけに50.9%が転職を検討、うち44.2%が実際に転職
勤務先に人事評価制度があると回答した387人に、人事評価がきっかけで転職を考えた経験があるかを聞いたところ、「ある」が50.9%、「ない」が49.1%だった。
さらに、転職を考えた経験がある197人に実際に転職したかを聞くと、「転職した」が44.2%で最多となった。
「検討中」は31.5%、「転職していない」は24.4%だった。
人事評価への不満や評価結果は、現在の職場で働き続けるかどうかを考えるきっかけの一つになっている。
AIを使った人事評価に68.5%が賛成 理想の評価者は「直属の上司」が最多
回答者全体476人に、人事評価にAIを使うことへの賛否を聞いたところ、「賛成派」は68.5%だった。
内訳は「とても賛成」が10.5%、「賛成」が17.2%、「どちらかといえば賛成」が40.8%となった。
賛成と回答した326人にその理由を聞くと、「上司の主観が排除される」が55.5%で最多となり、「評価基準が明確になる」が51.2%、「社内政治に左右されない」が42.3%と続いた。
一方、回答者全体476人に理想の評価相手を複数回答で聞くと、「直属の上司」が38.2%で最多だった。
次いで「上司とAI」が37.4%、「複数の上司や管理職」が26.9%となり、「AI」単独は17.0%にとどまった。
AIを使った人事評価には賛成する人が多いものの、理想の評価相手としては、直属の上司や上司とAIの組み合わせが上位を占めている。
評価の透明性と納得感を求める声も
調査では、人事評価に関する自由記述のコメントも寄せられた。
「基準が曖昧、プロセスが不透明な制度だと離職する社員が止まらないと思う」
「いくら良い評価をしてくれても、目に見えた給料アップがないとモチベーションは下がる」
「職種が異なる人と評価の土台が一緒。どのように評価しているのかわからないと納得いかない」
評価基準の分かりにくさや、評価と報酬の関係についての意見がみられた。
評価に疑問を感じたら、まずは評価基準や昇給・昇格の条件が文書で示されているかを確かめたい。基準が分かれば、上司に伝える内容も具体的になる。伝えても変わらないと諦める前に、何が分からないのかを言葉にしてみることが一歩になる。
【調査概要】 調査名:2026年 人事評価の実態調査 調査機関:Job総研(パーソルキャリア) 調査対象者:現在就業中のJobQ Town(ジョブキュータウン)登録者 調査条件:全国/男女/20~50代 調査期間:2026年9月2日~9月8日 有効回答数:476人 調査方法:インターネット調査





