転職活動では、給与や待遇、仕事内容、これまでの経験を生かせるかどうかが、応募先を選ぶ際の判断材料となる。しかし、求人票や面接で得た情報から「自分に合いそう」と感じていても、入社後に上司の仕事の進め方や職場の雰囲気などに違和感を覚えることがある。
No Companyが2023年1月以降に中途入社した30~40歳のビジネスパーソン871人を対象に実施した調査では、入社1年未満で離職した「早期離職層」と、現在も勤務を継続している「定着層」の回答を比較した。入社前の期待や入社後のギャップ、企業への信頼につながった採用時の情報などから、転職先選びの実態を紹介する。
早期離職層84.9%が入社前は「自分に合う」と期待
入社前に、その会社で「自分らしく働けそうか」を判断できていたか尋ねたところ、早期離職層318人では「十分判断できていた」が32.7%、「ある程度判断できていた」が52.2%だった。合計84.9%が、入社前に判断できていたと回答している。
一方、定着層553人では「十分判断できていた」が13.2%、「ある程度判断できていた」が54.4%で、合計67.6%だった。
入社前に判断できていたと答えた割合は、定着層よりも早期離職層の方が17.3ポイント高かった。
この結果からは、判断できていたと感じていても、実際に働き始めてからの適合性とは必ずしも一致しないことがうかがえる。
定着層は仕事内容や働き方との適合性を重視
入社前に「この会社なら自分に合う」「自分らしく働けそう」と感じた理由にも、両者の違いがみられた。
早期離職層318人では、「良い面だけでなく、課題やネガティブな情報も理解できた」が22.0%で最も高く、「上司のマネジメントスタイルが自分に合っていた」が19.5%、「評価される人の特徴が自分に合っていた」が18.6%だった。
一方、定着層553人では、「仕事内容が自分の強みや経験に合っていた」が25.0%で最多となった。「入社後の仕事内容や役割を具体的に理解できた」が20.8%、「仕事の進め方が自分に合っていた」が18.3%と続く。
早期離職層では会社や上司に関する理解が、定着層では自身の経験と仕事内容、仕事の進め方との適合性が、それぞれ比較的高い割合を示した。
早期離職影響したのは年収・待遇9.4%が最多
早期離職層318人に、入社後のミスマッチの中で退職に最も影響したものを尋ねたところ、「年収・待遇」が9.4%で最多だった。
次いで「一緒に働くメンバー」が8.5%、「入社後に期待された役割」と「チームの雰囲気」がそれぞれ8.2%、「仕事を進める上での判断基準や考え方」が7.5%だった。
「労働時間・働き方」は7.2%、「キャリアパス」は6.9%となり、「実際の仕事内容」は5.0%だった。
待遇面に加え、一緒に働く人やチームの雰囲気、仕事の判断基準など、職場での人間関係や働き方に関する要素も退職に影響していた。
事前に知りたかった情報は仕事内容と上司のスタイルが同率1位
早期離職層318人に、入社前に知ることができていれば、入社後のミスマッチや早期離職を防げたと思う情報を尋ねた。
複数回答(最大3つ)では、「実際の仕事内容」と「上司のマネジメントスタイル」がともに15.7%で最も高かった。
続いて「一緒に働くメンバー」が15.1%、「暗黙のルール」が14.8%、「チームの雰囲気」と「仕事を進める上での判断基準や考え方」がそれぞれ14.2%だった。
「実際の残業時間」も12.3%に上り、仕事内容や労働条件だけでなく、職場内での仕事の進め方や人間関係についても、入社前に知りたいと考える人がいることが分かった。
早期離職層79.9%が入社後にギャップを経験
入社前に持っていたイメージと入社後の実際の状況にギャップがあったか尋ねたところ、早期離職層318人では「大きなギャップがあった」が25.5%、「ある程度ギャップがあった」が54.4%だった。
両者を合わせた79.9%が入社後にギャップを感じていた。
一方、定着層553人では「大きなギャップがあった」が11.6%、「ある程度ギャップがあった」が38.0%で、合計49.6%だった。
ギャップを感じた割合は早期離職層の方が30.3ポイント高く、特に「大きなギャップがあった」と答えた割合では13.9ポイントの差がみられた。
さらに、早期離職層に入社後に感じたギャップについて、事前に知ることができていれば自分に合う会社か判断できたと思うか尋ねたところ、「十分判断できたと思う」が34.3%、「ある程度判断できたと思う」が56.6%だった。
合計90.9%が、事前にギャップの内容を知ることができれば、会社との適合性を判断できたと考えている。
入社後のギャップそのものだけでなく、入社前にどの程度の情報を得られていたかも、転職先を選ぶうえで重要なポイントとなっている。
採用時の信頼、定着層は「面接での丁寧な説明」24.2%
内定承諾までの選考期間中、企業への信頼につながったものを尋ねた結果にも違いがみられた。
定着層553人では「面接での丁寧な説明」が24.2%で最も高く、「上司となる人との対話」が22.2%、「仕事内容についての具体的な説明」が16.6%だった。
一方、早期離職層318人では「選考中の対応の丁寧さ」が19.5%、「質問に対して率直に回答してくれたこと」が18.2%、「社員インタビューや動画」が17.6%となった。
いずれの層でも、選考中の説明や質問への回答など、企業との直接的なコミュニケーションが信頼につながる要素として挙がっている。
会社理解につながった機会、上司との面談が23.1%で最多
定着・活躍層のうち、「特にない」と回答した人を除く458人に、入社前に会社への理解や「自分に合いそうか」という判断につながった機会を尋ねた。
複数回答(最大3つ)では、「上司となる人との面談」が23.1%で最多となり、「仕事内容・働き方についての具体的な説明」が22.7%、「職場・オフィスの見学」が18.8%と続いた。
このほか、「現場社員との面談」が13.8%、「実際の仕事への同行・見学」が12.7%、「チームメンバーとの交流」が11.6%だった。
No Companyは、選考中から現場社員や上司との対話、職場見学などを通じて入社後の働き方を具体的にイメージできる機会を提供する「入社前オンボーディング」の重要性を指摘している。
今回の調査では、早期離職層の多くが入社前に「自分らしく働けそうか」を判断できていたと答えた一方、入社後にはギャップを感じていた。転職先を検討する際は、給与や仕事内容に加え、上司のマネジメントスタイルやチームの雰囲気、仕事の進め方についても確認しておきたい。
調査時期:2026年8月27日~9月3日 調査方法:インターネット調査 対象エリア:全国 調査対象:2023年1月以降に中途入社を経験した30~40歳のビジネスパーソン871人(早期離職層318人/定着層553人、集計セグメントによる抽出) 調査実施:No Company







