気候変動によって、世界の感染症の分布が変わりつつある。かつて熱帯・亜熱帯地域に多かったデング熱などが欧米でも広がり、日本でも感染症への警戒が必要になっている。身近な健康リスクにどう備えればよいのか。

  • 気候変動で変わる「感染症の地図」

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夏の暑さは年々増し、異常気象による台風や洪水の被害を伝えるニュースを目にするたびに、気候変動が身近な問題として実感されるようになった。気候変動により、私たちの健康を脅かす感染症の分布もまた変化しつつある。

かつてアフリカや東南アジアなど、熱帯・亜熱帯地域に多いと考えられていたマラリアやデング熱が、欧米などの温帯地域でも問題となっている。

世界保健機関(WHO)によれば、2024年に報告されたデング熱の症例数は約1460万件と過去最多を記録した。米国では2023年、20年ぶりに蚊を介したマラリアの国内感染が確認され、日本でも2025年、マダニが媒介するSFTS(重症熱性血小板減少症候群)の患者が192人と過去最多を記録した。

感染症は、もはや遠い国の出来事でも、海外旅行や出張の際に気をつければ済む話でもない。住んでいる地域の環境、通勤や屋外での活動、家族の健康、日々の暮らしにも関わる問題だ。

各地で広がる感染症

感染症のリスクを考えるうえで重要なのは、これまで流行しにくかった地域でも、感染が成立する条件が整いつつあることだ。2026年に医学誌「ネイチャー メディシン」に掲載された論文は、気候変動が感染症の発生する場所や時期を変化させると指摘している。

ただし、気温上昇だけですべての感染症が増えるわけではなく、降水量や湿度、人の移動、都市化、医療体制なども影響する。

デング熱、チクングニア熱、ジカ熱はいずれも、主にヒトスジシマカやネッタイシマカなどの蚊が媒介する。日本にも生息するヒトスジシマカは、黒い体に白い縞模様がある蚊だ。

  • 蚊

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