市民にとって身近な行政サービスだが、その担い手である公務員がどのような環境で働いているかは、普段は見えにくい。政策・制度の立案から地域課題への対応、窓口での住民対応まで業務は幅広く、人材の確保・定着も課題となっている。

パーソル総合研究所が中央官庁や地方自治体で働く現職公務員2,366人を調査したところ、社会や地域への貢献を意識する一方、その成果や感謝、成長を実感しにくい傾向がみられた。また、中央官庁・都道府県・市区町村という所属による違いもあることがわかった。

公務員として働いている人、今後公務員として働くことを考えている人はもちろん、市民として今後の行政サービスのあり方を考えるうえでも、役に立つ調査内容ではないだろうか。

「公務員であること」に誇り、中央官庁でも約5割

調査を行った現職公務員のうち、「公務員であること」に誇りを感じている割合は、中央官庁で約5割、広域自治体(都道府県)で約4~5割、基礎自治体(市区町村)では約4割だった。

「公務員であること」への誇りと、各因子との関係についても分析されている。それによると、公務員の所属を問わず、社会や地域への貢献を実感する「他者貢献」が誇りとプラスに関連した。一方、自分の努力が報われないと感じる「評価不満」はマイナスに関連している。

調査ではまた、働くことを通じて感じる主観的な幸福感/不幸感を「はたらく幸せ実感」「はたらく不幸せ実感」として測定している。公務員の「はたらく幸せ実感」は会社員平均とおおむね同水準だった一方、「はたらく不幸せ実感」はすべての所属・職種で会社員平均を上回った。

「はたらく幸せ実感」の因子も分析されている。それによると、「他者貢献」「自己裁量」は会社員平均をおおむね上回ったが、「自己成長」「他者承認」「リフレッシュ」などは下回った。

市区町村の20~30代、26.2%がやりがいが低くストレスが高い「バーンアウト型」

調査では、仕事のやりがいと心理的ストレスの状態から、公務員を以下のように「ワーカホリック型」「ワーク・エンゲイジメント型」「バーンアウト型」「不活性型」4つのタイプに分類している。

ワーカホリック型:仕事にやりがいを感じているが、ストレスを強く感じている

ワーク・エンゲイジメント型:仕事にやりがいを感じており、ストレスをあまり感じていない

バーンアウト型:仕事にやりがいを感じておらず、ストレスを強く感じている

不活性型:仕事へのやりがいも、ストレスもあまり感じていない

公務員のいずれの所属でも、20~30代では「ワーク・エンゲイジメント型」が約2割だった。一方、所属ごとの20~30代の特徴としては、市区町村で「バーンアウト型」が26.2%を占めた。

さらに、全年代を対象に、前述の4類型別の継続就業意向と転職意向も調査が行われた。これによると、転職意向が最も高いのは「バーンアウト型」の41.0%で、最も低いのが「ワーク・エンゲイジメント型」の20.3%となっている。

また、継続就業意向と転職意向を組み合わせた以下の4類型「潜在流出群」「離職切迫群」「定着安定群」「停滞・無関心群」の分析も行われた。

潜在流出群:継続就業意向が高く、転職意向も高い

離職切迫群:継続就業意向は低く、転職意向が高い

定着安定群:継続就業意向は高く、転職意向も低い

停滞・無関心群:継続就業意向は低いが、転職意向も低い

20~30代では、「潜在流出群」が17.1%、「離職切迫群」が15.9%で、転職意向が高い類型は合計33.0%だった。「定着安定群」は41.7%となっている。

市区町村では52.7%がクレームに個人対応

公務員が日々の仕事で「一般の国民・住民」を最も意識する割合は、中央官庁53.1%、都道府県60.5%、市区町村63.4%だった。

一方、「直接、感謝の言葉をかけられることが多い」とした割合は、市区町村でも20.4%にとどまった。

市区町村は他の所属に比べてクレーム対応の負担が高い傾向もみられる。市区町村の役場勤務でクレーム対応による疲弊を感じる割合は45.4%だった。また、市区町村でクレーム対応を個人で担う割合は52.7%と半数を超えている。

中央官庁・都道府県でのクレームへの組織・個人対応の割合と比べて、市区町村では個人で対応する割合が高いという傾向もみられた。

成長実感、市区町村の行政職は33.8%

仕事を通じた成長実感は、すべての所属・職種で会社員平均の48.6%を下回った。市区町村では行政職33.8%、技術職35.1%だった。

部署異動との関係をみると、異動前後の仕事内容に関連性がある職員ほど、成長実感が高い傾向がみられた。関連性がある場合はスキル・知識の深化や組織への理解につながりやすい一方、関連性がない場合は、異動前のスキルや知識、人脈を生かせていないと感じる割合が高かった。

働き続けたい気持ちには「キャリアの見通し」が関連

公務員として働き続けたいという意向との関連を分析すると、全体で最も強く関連していたのは「長期的なキャリアの見通し」だった。次いで、社会や地域への貢献実感、自身の役割や仕事の意義を認識できていることが関連していた。

一方、若手職員では、自分の役割や目の前の仕事の意味を認識できていることとの関連が特に大きかった。

また、公務員という職業のイメージをどこから得たかを年代別にみると、「家族・親族関係」がいずれの年代でも約4~5割だった。身近な人から公務員の仕事を知るケースが多いこともうかがえる。

公務員の実態

今回の調査では、公務員が社会や地域への貢献を意識しながら働く一方、若手のストレスやクレーム対応、成長実感など、所属や職種によって異なる課題が示された。

公務員として働いている人や就職を考えている人は、この調査結果を参考に、仕事内容だけでなくキャリア形成や職場での支援体制にも目を向けてみるとよいだろう。

また、市民として行政サービスを受ける際に、その担い手である公務員の働く環境について考えるきっかけにもなりそうだ。

調査名称:パーソル総合研究所「公務員の職業生活に関する定量調査‐中央官庁・地方自治体職員編」 調査対象:本省・本庁、出先機関勤務の現職公務員2,366名 調査方法:調査会社モニターを用いたインターネット定量調査 調査時期:2026年1月21日~1月23日 実施主体:パーソル総合研究所 ※会社員比較群(n=551)は、本調査で収集した民間企業就業者サンプルを参照値として使用。構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある。