会議に出ても女性の上司はほとんどいない、と感じる職場は少なくないようだ。女性管理職の登用や男性の育児休業、男女間の賃金の差など、女性の働き方をめぐる話題を耳にする機会も増えているようだ。

飯田橋・神楽坂社会保険労務士法人が従業員30~300名の企業270社に実施した調査では、女性管理職がゼロまたは10%未満の企業が6割を超えた。一方で「女性管理職を増やしたい」とする割合は、女性管理職が少ない企業でも多い企業でもほぼ同じだった。管理職を目指すかどうか迷っている人や、育児と仕事を両立しながら働く人、その仕事を引き受ける同僚にとっても、身近な結果かもしれない。

女性管理職が「いない」「10%未満」の企業、合わせて61.9%

女性管理職の比率を尋ねたところ、「女性管理職はいない」と回答した企業は31.5%、「10%未満」は30.4%で、合計61.9%となった。一方、女性管理職比率が10%以上の企業は36.3%だった。

女性従業員比率が30%以上の企業115社に絞っても、女性管理職がゼロまたは10%未満の企業は33.9%あった。

女性管理職を「増やしたい」意向は約45%だが、施策の実施状況にはばらつき

「女性管理職を積極的に/ある程度増やしたい」と回答した割合は、女性管理職がゼロまたは10%未満の企業(167社)で45.5%、女性管理職比率10%以上の企業(98社)で45.9%だった。両者にはほとんど差がなかった。

一方、女性活躍に関する具体的な施策を「特に実施していない」と回答した割合は、女性管理職がゼロまたは10%未満の企業で42.5%、10%以上の企業で13.3%だった。

男女間賃金差異を「算出し、公表している」割合も、女性管理職比率が低い企業では7.2%、10%以上の企業では19.4%と差が見られた。

女性管理職を増やすうえでの課題、最多は「候補となる女性社員が少ない」45.9%

女性管理職を増やすうえでの課題を尋ねたところ、最も多かったのは「管理職候補となる女性社員が少ない」で45.9%だった。次いで「女性社員本人が管理職を希望しない」が32.2%、「育児等との両立が難しい」が23.3%、「女性社員の勤続年数が短い」が19.6%となった。

なお、「女性社員本人が管理職を希望しない」は女性社員本人に聞いたものではなく、企業側から見た認識だ。今回の調査は回答者の93.3%が代表者または役員で、経営側の認識を捉えた結果となっている。

男女間賃金差異を「算出していない」企業は32.2%

男性と女性の平均的な賃金の差を示す「男女間賃金差異」について尋ねたところ、「算出し、公表している」は11.5%、「算出しているが公表していない」は28.1%、「現在算出・公表準備中」は6.7%だった。一方、32.2%は「算出していない」と回答した。

賃金差異が生じる原因として企業側が最も多く挙げたのは「管理職に男性が多い」で35.9%だった。次いで「勤続年数に男女差がある」が25.9%、「職種・仕事内容に男女差がある」が23.3%となった。

施策の数別にみた「離職防止につながっている」、3施策以上の企業で50.6%

女性管理職候補者の育成や管理職研修、キャリア研修、1on1、評価制度、柔軟勤務、テレワーク、育児との両立支援などの施策について、実施している施策数別に効果の実感を比べた。何らかのプラス効果を回答した割合は、0施策の企業で18.2%、1~2施策で81.9%、3施策以上で93.5%だった。

「離職防止につながっている」と回答した割合は、0施策で3.4%、1~2施策で26.7%、3施策以上で50.6%だった。

いずれも企業側が効果を実感しているかどうかを聞いたもので、施策を増やせば効果が出るという因果関係を示すものではない。

育休・短時間勤務で周囲の負担が「増えている」企業は50.4%

育児休業や短時間勤務を利用する社員がいることで、周囲の社員の負担がどう変わったかを尋ねたところ、「他の社員の負担が大きく増えている」が6.7%、「やや増えている」が43.7%で、合わせて50.4%の企業が負担増を感じていた。企業規模別では、30~100名の企業で44.3%、101~300名の企業で61.5%だった。

育児休業取得者の業務の分担方法(複数回答)は、「同じ部署の社員が分担する」が50.7%、「上司・管理職が担当する」が31.5%で上位となった。

自分の職場の「次の管理職」の育ち方を振り返ってみる

女性管理職を増やしたいとする企業は、現状にかかわらず約45%だったが、施策の実施状況には差が見られた。自分の職場には、管理職を目指す人がキャリアについて相談できる場があるだろうか。職場環境のあり方を一度見直してみてもよいかもしれない。

【調査概要】 - 調査名:第2回 人的資本・労務リスク調査2026秋(女性活躍と仕事・育児の両立に関する企業実態調査) - 調査期間:2026年9月25日~10月9日 - 調査方法:インターネットアンケートサイトを利用した自社調査 - 調査対象:従業員30~300名の企業270社(30~49名:71社、50~100名:103社、101~300名:96社) - 回答者:代表者101名、役員151名、人事労務責任者15名、総務責任者3名 - 調査・分析:飯田橋・神楽坂社会保険労務士法人