部下に仕事を任せたつもりでも、期待していた成果と違ったり、面談で本音を聞き出せなかったりする。管理職にとって、部下とのコミュニケーションは日々の悩みの一つだ。シーベースが360度フィードバックを導入している企業の従業員を対象に実施した調査では、部下を持つ管理職751人の40.9%が、部下とのコミュニケーションに困ったり悩んだりすることがあると回答した。

一方、別の設問では、期待する役割や成果のすり合わせなど、具体的な対話行動を実践する人が半数を超えていた。対話にまつわる悩みと実践行動の両面が数字で示されている。現場の管理職だけでなく、これからチームを任される人や人材育成担当者にも関わる結果だ。

管理職の40.9%が部下とのコミュニケーションに悩み、経験5年未満では50.0%

部下を持つ管理職751人に、日頃の部下とのコミュニケーションについて尋ねたところ、「困る・悩むことがある」に「あてはまる」と回答した人は10.9%、「ややあてはまる」は30.0%で、合計40.9%だった。

マネジメント経験別に見ると、経験5年未満の管理職では50.0%が悩みを感じていた。一方、経験5年以上では39.1%で、10.9ポイントの差があった。

年代別では、40代の48.0%が部下とのコミュニケーションに悩んでいると回答した。50代は37.5%、60代以上は34.2%で、40代以上では年代が上がるにつれて悩みを感じる割合が低くなっていた。

管理職になると、自分の業務だけでなく、部下の仕事の進み具合や考えを把握し、チームとして成果を出すことも求められる。同社は、特に管理職経験の浅い時期には、それまで自分が実践してきた仕事の進め方に加え、相手に合わせた関わり方を身につける必要があることも、難しさの背景の一つとみている。

56.7%が部下との役割期待をすり合わせ、半数以上が具体的な対話を実践

管理職が日頃実践している部下との対話やフィードバックについて尋ねたところ、最も多かったのは「期待する役割・成果・行動をすり合わせる」の56.7%だった。

次いで「部下の意見や違和感を聞き、自分自身の対応も見直す」が55.4%、「日々の行動・プロセスに具体的なフィードバックをする」が52.2%となった。

さらに「フィードバックや対話後、次の行動を一緒に確認・サポートする」は50.9%、「相互理解のための対話時間を定期的に設ける」は50.3%で、いずれも半数を超えている。

年代別では、40代と50代の間に違いが見られた。

「相互理解のための定期的な対話」を実践している割合は、40代が55.4%、50代が45.7%で、9.7ポイント差だった。

「期待する役割・成果・行動のすり合わせ」も40代60.6%、50代52.1%、「対話後の次の行動の確認・サポート」は40代56.0%、50代48.8%となっている。

40代は50代よりも部下とのコミュニケーションに悩む割合が高い一方、こうした具体的な対話行動を実践している割合も高かった。

シーベースは、部下とのコミュニケーションの悩みについて、対話の機会や取り組みの少なさだけでは説明できないと指摘する。話す機会を設けることに加え、何を聞き、どう伝え、次の行動につなげるかという対話の質にも目を向ける必要があるとしている。

360度フィードバック後の変化、最多は「自身の強み・改善点の再認識」28.2%

管理職の行動を振り返る方法の一つに、上司や同僚、部下など複数の立場から評価や意見を受け取る「360度フィードバック」がある。

今回の調査では、360度フィードバック実施後に管理職本人に見られたポジティブな変化についても尋ねている。

ポジティブな変化として挙げられた項目のうち、最も多かったのは「自分の強み・改善点を客観的に再認識し、受け入れるようになった」の28.2%だった。

次いで「従来のやり方にこだわらず、柔軟になった」が23.7%、「結果を踏まえたアクションプランを自主的に策定し、行動を改善している」が22.6%となった。

このほか、「仕事に対するモチベーションが上がった」は16.6%、「対話を重視するようになった」は16.2%、「能力、スキルが向上した」は13.3%だった。一方、「あてはまるものはない」との回答も32.5%あった。

職場のポジティブな変化、最多は「メンバー一人ひとりへの気づき」26.5%

360度フィードバック導入後、職場のマネジメントスタイルや組織風土にどのような変化が見られたかについても調査している。

職場のポジティブな変化として挙げられた項目のうち、最も多かったのは「メンバー一人ひとりの気づきの機会を提供する効果があった」の26.5%だった。

次いで「上司から部下への一方的な指示ではなく、対話やコーチングが重視されるようになった」が23.4%、「部門やチーム最適な思考から全体最適な思考に変わった・影響があった」が23.0%となっている。

そのほか、「ハラスメント事案を抑制する効果があった」が16.9%、「顧客の声を重視する思考に変わった」と「自律して仕事に向き合うようになった」がそれぞれ12.6%だった。「あてはまるものはない」は35.4%となった。

部下との対話を見直す際は、話す回数だけでなく、期待する役割や成果を共有できているか、部下の意見を聞いて自分の対応を見直しているかにも目を向けたい。管理職自身が周囲からフィードバックを受ける機会についても、職場で確認してみてはどうだろうか。

調査概要 調査名:管理職・次世代リーダー育成実態調査2026 調査実施:シーベース 調査手法:インターネットリサーチ 調査地域:全国 調査期間:2026年8月 調査対象:360度フィードバックを導入している企業の従業員 回答者数:751人(部下を持つ管理職) ※調査票では「360度評価(多面評価)」と表記。 ※複数回答の設問では、回答割合の合計が100%を超える。 ※本調査は360度フィードバックを導入している企業の従業員を対象としており、日本の管理職全体を代表する調査ではない。

出典:シーベース調べ