メールを送る前、宛先や添付ファイルを取り違えていないか、気にしているだろうか。急ぎの依頼だと、確認が抜けてしまう場面もあるかもしれない。企業の情報漏洩をニュースで目にする機会もあり、取引先を名乗るメールに少し身構えるようになったと感じる人もいるようだ。情報の扱いは、システムの担当者だけでなく、日々メールや資料をやりとりする働く人一人ひとりにも関わる話といえる。

帝国データバンクは、全国1,328社を対象に、情報漏洩(人為ミスやサイバー攻撃による漏洩等を含む)、または情報漏洩の可能性がある事案の発生状況についてアンケートを行った。

情報漏洩「発生したことがある」と答えた企業は16.2%

情報漏洩、または情報漏洩の可能性がある事案の発生状況を尋ねたところ、『発生したことがある』と回答した企業は16.2%だった。発生時期別にみると、「1カ月以内」が1.3%、「3カ月以内」が1.1%、「半年以内」が1.4%、「1年以内」が1.7%で、直近1年以内の発生は計5.5%。「1年以上前に発生」は10.7%だった。

企業からは、「メールの送信先を誤った」(建設、中小企業、3カ月以内に発生)といった人為ミスをあげる声が複数聞かれた。一方で、「他社担当者を装ったメールを受信し、緊急だと思い込んで電話確認を行わず情報を送付してしまった」(建設、小規模企業、1年以上前に発生)や、「外部からのサイバー攻撃を受けた痕跡がある。中小企業なので対策といっても大したことはできていないのが実情」(機械・器具卸売、中小企業、半年以内に発生)といった声もあった。

発生したかどうか「分からない」企業は14.8%

一方、『全く発生したことがない』企業は69.1%、『分からない』企業は14.8%だった。

『分からない』と回答した企業からは、「コンピュータのデータ処理に関する専門家がいないため、情報漏洩があったのか、なかったのかが分からない」(不動産、小規模企業)といった声が複数聞かれた。

『全く発生したことがない』と回答した企業からは、「情報漏洩を防ぐための教育と設備にお金をかけている」(建設、中小企業)といった声があった。その一方で、「情報漏洩として問題になったことがないため、どのように対策をとるべきなのかが分からない」(建設、中小企業)と、今後の対策に不安を抱く企業もみられた。

企業規模別、「大企業」では「発生したことがある」が30.2%

企業規模別に「発生したことがある」と回答した企業の割合をみると、「大企業」は30.2%で、全体(16.2%)を14.0ポイント上回った。直近1年以内に発生した割合も、「大企業」の8.8%に対し、「中小企業」は5.0%だった。グラフでは、「発生したことがある」企業の割合は「中小企業」が14.3%、そのうち「小規模企業」が10.8%となっている。

調査を実施した帝国データバンクは、企業規模が大きいほど発生経験の割合が高い背景として、取り扱う情報量やシステム数、情報にアクセスする従業員数、取引先数の多さに加え、情報漏洩や不正アクセスなどを検知・把握する体制が整備されていることなどがあると考えられるとしている。

「大企業」からは、「FAXや郵便などアナログ作業での人為的ミスが多く、デジタルに置き換えている」(金融、大企業、1年以上前に発生)といった声が聞かれた。一方、「小規模企業なので、狙われる対象にもならないと思うが、昨今のサイバー攻撃のニュースを耳にすると他人事ではない気がする」(飲食店、小規模企業、全く発生したことがない)という声もあった。「中小企業」からは、費用面や人材面の制約により十分な対策が難しいとの声もあがった。

社員教育やメールの扱い方の見直しなど、企業の取り組み

企業からは、日々の業務のなかで行っている対策についての声も寄せられた。

  • 「メールやグループウェアの利用時に他社の資料を誤って添付したり、他社資料を参考に作成した資料から不要な情報を削除しきれなかったりするなど、人為的なミスが発生した。そのため、資料をメールに添付することを原則として避けるほか、資料の再利用を控え、テンプレートの利用を促進するなどの対策を講じている」(専門サービス、小規模企業)
  • 「情報漏洩防止に向け、全社員に対して継続的な教育を実施している」(機械製造、中小企業)
  • 「情報管理業務は十分なスキルと安全意識を備えた担当者に限定している。従業員教育や業務フローの見直しに加え、メールや添付ファイルの取り扱いルールを厳格化し、情報漏洩防止に努めている」(メンテナンス・警備・検査、中小企業)

送信前のひと呼吸を自分の業務でも

情報漏洩やその可能性がある事案が「発生したことがある」企業は16.2%で、発生の有無が「分からない」企業も14.8%あった。企業からは、メールの送信先を誤ったといった人為ミスの声も複数聞かれた。メールを送る前に宛先と添付ファイルをもう一度確かめる、急ぎの依頼でも相手に電話で確認するなど、自分の業務のなかでできることを一度振り返ってみてはどうだろうか。

調査期間:2026年10月9日~10月14日(インターネット調査) 有効回答企業:1,328社