米中対立は関税戦争の段階を超え、半導体やレアアースなど戦略物資を巡る「チョークポイント競争」へと移行し、サプライチェーンや投資、人材の流れまで左右する時代に。

  • レアアースと半導体

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関税戦争から「チョークポイント競争」へ

米中対立は、関税を掛け合う貿易戦争の段階を超え、半導体や重要鉱物、先端技術など相手の経済活動を制約する「チョークポイント(戦略的急所)」を握り合う競争へと移行している。

サプライチェーンや投資、人材の流れまでが安全保障と結び付き、政治が企業経営を直接左右する時代が始まった。

その象徴が、米国による先端半導体の対中輸出規制と、中国によるレアアースなど重要鉱物の輸出管理強化だ。

半導体はAIや防衛産業の競争力を支える基盤技術であり、レアアースはEVや風力発電設備、高性能モーター、防衛装備品まで幅広い産業で不可欠な戦略物資である。国際エネルギー機関(IEA)によると、中国は世界のレアアース精錬能力の約9割を握っており、輸出管理の強化は世界の製造業に直接影響を及ぼす。

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ジョージタウン大学のエヴァン・メデイロス教授(アジア研究)は、こうした構造変化の本質について「関税からチョークポイントへの転換」と表現する。

「米中対立は単なる関税の応酬から、半導体やレアアースといった互いの構造的脆弱性を突く『チョークポイントの争い』へとシフトした。双方は互いの影響力を排除しつつ、自らのレバレッジを拡大しようとしており、相互依存そのものが武器化される、より脆弱で破壊的な競争の時代に入っている」

グローバル化は本来、相互依存が経済成長を促し、対立を抑制するという発想の上に成り立ってきた。しかし現在は、その相互依存そのものが制裁や交渉カードとして利用されるようになった。企業にとってサプライチェーンは、効率性を追求するための仕組みであると同時に、経済安全保障上のリスクそのものになっている。

こうした変化を受け、多くの企業は中国への依存を下げるため、生産拠点を東南アジアやインドへ分散する「チャイナ・プラス・ワン」を進めてきた。

一方で、中国企業も海外への直接投資や第三国経由の供給網の構築を進めており、サプライチェーンは国境を越えてさらに複雑化している。