役職定年や定年延長、継続雇用などによって、管理職を退いた後も同じ会社で働き続けるケースがある。とくに50代以降は、役職を離れたあとにどの仕事を担うのか、これまでの経験をどう生かすのかが本人にも企業にも身近な課題になる。パーソル総合研究所の調査では、元管理職の35.3%が「想定外」の理由で退任し、25.1%は想定より早い時期に役職を離れていた。退任後は47.2%が自ら成果を出す「プレーヤー」を担う一方、業務への適応は高適応36.1%、低適応34.6%と二極化している。役職を離れる時期だけでなく、その後の役割の説明や目標、評価のあり方まで含めて、長期化する退任後のキャリアを考える材料となる調査だ。
管理職35.3%が「想定外」の理由で退任、25.1%は想定より早い
パーソル総合研究所は、課長以上のライン管理職を退任し、現在も同じ企業で働く50~64歳の男女690人などを対象に「元管理職の社内キャリアに関する調査」を実施した。 管理職を退任した理由について、35.3%が「想定外」と回答した。退任理由別では、組織改編による退任は全体の15.2%を占め、このうち81.0%が想定外だった。役職定年では15.4%、定年・再雇用では15.0%、任期満了では36.0%が想定外としている。
退任時期は「想定通り」が47.8%だった一方、25.1%は想定より早かった。実際の退任年齢では54歳以下が35.9%を占めた。
企業から退任について説明を受けた時期をみると、「説明なし」または「1か月以内」が合計39.1%だった。組織改編による退任では、「1か月以内」29.5%、「説明なし」26.7%で計56.2%となっている。
元課長は平均53.9歳で退任、65歳まで勤務なら退任後11.1年
元管理職の最高到達職位では、課長相当が67.5%を占めた。元課長は平均42.0歳で管理職に就き、平均53.9歳で退任。管理職としての経験年数は平均11.1年だった。 65歳まで勤務するとした場合、退任後の就業期間も11.1年となり、管理職として働いた期間と同程度になる。元部長相当は平均57.1歳で退任し、65歳までの就業期間は7.9年、元事業部長・執行役員相当は平均57.3歳で退任し7.7年となる。
50~64歳の正社員・定年後再雇用者では、管理職経験者が43.6%だった。
退任後47.2%が「プレーヤー」、26.7%は未経験職種へ
退任後の主な役割を「関与の仕方」と「貢献の方向」の2軸で4タイプに分類すると、自ら成果を創出する「プレーヤー」が47.2%で最多だった。 次いで、定例業務や他者支援を担う「サポーター」が19.7%、組織内外の調整を担う「コーディネーター」が18.7%、後進の指導・育成を行う「メンター」が13.5%となった。
また、26.7%は退任後に未経験の職種へ異動していた。役割別では、サポーターの職種転換率が42.6%で最も高く、メンターは17.2%で最も低かった。
退任後の「高適応」36.1%、「低適応」34.6%と二極化
調査では、退任後のパフォーマンスと役割への納得度を組み合わせ、元管理職の適応状況を4群に分類した。 パフォーマンスと役割納得度がともに高い「高適応群」は36.1%。一方、どちらも低い「低適応群」は34.6%となり、ほぼ二分された。
現管理職では高適応群が55.4%、低適応群が21.8%だった。元管理職は現管理職と比べ、高適応群が19.3ポイント低く、低適応群が12.8ポイント高い。
なお、管理職時代にプレーヤー業務をどの程度担っていたかによる退任後の適応度には、統計的に有意な差はみられなかった。マネジメント中心だった人とプレーヤー業務中心だった人で、退任後の適応に大きな違いはみられていない。
事前理解や役割・目標・評価の明確さが適応と関連
退任後の仕事内容や役割について事前理解が高かった人では、高適応群が50.8%だった。一方、事前理解が低かった人の高適応群は21.4%にとどまり、低適応群が52.1%を占めた。
退任に向けた準備では、「備えとして行っていたことは特にない」が37.2%で最多だった。「役職退任後については極力考えないようにしていた」も20.9%に上っている。
退任後の役割について、希望した役割と実際の配置が一致した人では高適応群が41.9%となり、不一致だった人の31.6%を上回った。一方、「希望する役割がなかった」人では低適応群が54.2%だった。
さらに、退任後の役割期待の明示が高い人では、高適応群が63.7%だったのに対し、低い人では17.2%だった。役割に関する対話の評価が高い人では67.0%が高適応群となっている。
役割期待の明示や役割についての対話が多い層ほど、高適応群の割合が高かった。目標設定の明確さでも同様の傾向があり、明確さが高い人では67.9%が高適応群だった。評価・フィードバックへの納得性が高い人では、高適応群が73.0%となった。
管理職を離れる時期は本人の想定通りとは限らず、その後も長く働き続けるケースがある。退任後に希望する役割や生かしたい経験を整理するとともに、企業側も役割期待や目標、評価方法を共有するなど、今後のキャリアや人材配置を考える材料として調査結果を確認しておきたい。
調査名称:元管理職の社内キャリアに関する調査 調査対象:①課長以上のライン管理職経験後、退任し同一企業に勤務する50~64歳の男女690名(正社員、契約・嘱託社員、パート・アルバイト[定年後再雇用者を含む])②課長以上のライン管理職を務める30~59歳の男女500名(正社員) 共通条件:従業員300人以上企業。第一次産業、学術研究・専門・技術サービス業、複合サービス事業(郵便局など)、国家公務・地方公務を除く 調査方法:調査会社モニターを用いたインターネット調査 調査時期:2026年6月16日~6月22日 実施主体:パーソル総合研究所












