新人の頃、上司に質問しても「まず自分で調べてみて」と言われたり、資料の言い回しを何度も直されたりして、もどかしく感じた人は少なくないかもしれない。ところが、自分が部下や後輩を持つ立場になると、同じ言葉を口にしている自分に気づき、複雑な気持ちになる人もいるようだ。

英語学習情報サイト「EnglishHub」を運営するGRASグループが、部下や後輩がいる30代以上の男女360名に行った「職場での経験に関する調査」では、自分を「嫌だったような上司・先輩」だと思う人は26.1%だった。一方、具体的な行動で尋ねると約7割に心当たりがあった。指導する側にも、指導される側にも、身に覚えのある話かもしれない。

「嫌だったような上司・先輩になっている」と思う人は26.1%

「あなたは、若い頃の自分が嫌がっていたような上司・先輩になっていると思いますか」と尋ねたところ、「なっていると思う」は26.1%、「なっていないと思う」は73.9%だった。4人に3人近くは、自分について「嫌がっていたような上司・先輩にはなっていない」と捉えている。

されて嫌だった行動を自分もしている人は69.2%

続いて、「上司や先輩からされたり、上司や先輩がしていて嫌だったのに、正直、今は自分もやっていること」を10項目から複数回答で尋ねた。1つ以上の行動を選んだ人は69.2%(249名)で、「該当項目なし」は30.8%だった。

今もしていることの1位は「すぐに答えを教えず、自分で調べさせる」32.5%

昔は嫌だったものの、今は自分もしていることの1位は「すぐに答えを教えず、自分で調べさせる」で32.5%。2位は「細かい表現や体裁の修正を求める」30.0%、3位は「勤務時間外に連絡する」16.9%だった。以下、「若手に飲み会の幹事・店の手配をさせる」14.2%、「上司の決定に従い、部下の前では批判する」13.3%が続いた。

「なっていない」と答えた人でも、60.9%が同じ行動をしている

自分について「嫌だったような上司・先輩になっていないと思う」と答えた266名に限っても、60.9%(162名)が昔嫌だった行動を現在も1つ以上していた。「なっていると思う」と答えた94名では、92.6%(87名)が何らかの行動を選んでいる。

責任転嫁は2.2%、成果の横取りは1.7%

項目によって、現在もしていると答えた割合には大きな差があった。「自分のミスを、部下や後輩のミスのように扱う」は2.2%、「部下や後輩の成果を、自分の成果のように扱う」は1.7%で、両項目を「絶対にやらない」と答えた割合は、それぞれ78.6%、78.1%だった。

一方、「すぐに答えを教えず、自分で調べさせる」は32.5%、「細かい表現や体裁の修正を求める」は30.0%が現在もしていると回答し、「絶対にやらない」はそれぞれ11.7%、17.5%にとどまった。

今も後ろめたさを感じている人は42.6%

昔は嫌だった行動を現在もしている249名に今の気持ちを尋ねると、最も多かったのは「おかしいと思うし、後ろめたさも感じている」で42.6%だった。「おかしいとは思うが、気にならなくなった」は27.7%、「今はおかしいと思わなくなった」は17.3%、「あてはまるものはなかった」は12.4%だった。

昔嫌だった行動をしている割合、役職者は77.0%

昔嫌だった行動を現在もしている人の割合を役職別に見ると、役職なしでは57.3%、係長・主任クラス以上の役職者では77.0%で、19.7ポイントの差があった。ただし、本調査では業務内容や部下・後輩と接する頻度を尋ねていないため、役職そのものが回答差の原因とは断定できない。

自由回答には「立場が変わって必要性を感じた」という声

自由回答では、若い頃は嫌だった行動について、指導する立場になって必要性や事情を感じるようになったという声が寄せられた。

「以前は上司に尋ねても『自分で調べるように』と言われ、面倒だと思っていました。しかし、今思うと、そのほうが身につき、忘れにくいので、自分も同じようにしています」(40代女性・役職なし)

「お客様に提出する資料や提案書については、細かい部分の指摘や修正を求めてしまいます。自分も同じ立場のときは面倒だと感じていましたが、細部にも配慮できるようになってほしいという気持ちがあります。そのため、指摘するときは、その意図を伝えるようにしています」(30代男性・課長クラス)

「勤務時間外にたまに連絡をしてしまいます。どうしても、すぐに伝えなければならないこともあるからです。ただ、あまりよくないとは思っています」(60代以上女性・部長クラス)

「なぜそうするのか」を一言添えてみる

自分を嫌な上司だと思う人は26.1%でも、昔嫌だった行動を今もしている人は69.2%いた。部下や後輩に「まず調べてみて」「ここを直して」と伝えるとき、その理由まで言葉にできているかを一度振り返ってみるのもよさそうだ。指導を受ける側も、意図がわからないときは聞いてみると、受け止め方が少し変わるかもしれない。

【調査概要】 - 調査名:職場での経験に関する調査 - 調査主体:EnglishHub(GRAS Group) - 調査方法:インターネットによるアンケート調査(ランサーズ) - 調査対象:全国の30代以上で、部下または後輩がいる男女 - 有効回答数:360名 - 調査時期:2026年10月 - 回答者の内訳:男性59.7%/女性39.7%/上記以外・回答したくない0.6%。30代33.6%/40代35.6%/50代25.6%/60代以上5.3%。役員・経営層4.4%/部長クラス5.6%/課長クラス17.2%/係長・主任クラス33.1%/役職なし39.7%

出典:EnglishHub「職場での経験に関する調査」