大学、税理士、美容学校を同時に掛け持ち

桐山氏のキャリアは、学生時代からかなり異色だ。大学に通いながら税理士の専門学校と美容学校にも通い、3つの学びを並行していた。

当初は税理士を目指していたが、「リクルートスーツを着て就職活動をしたくなかった」という思いもあり、資格を取って自分で働ける状態を作ろうと考えたという。一方で、税理士になるだけでは「普通」だと感じ、父親が美容室を経営していたこともあって美容師の道にも踏み出した。

大学卒業後は美容師として働き、その後は税理士へ転身。異なる世界を渡り歩きながら、それぞれの仕事で経験を積んでいった。

  • 株式会社yutori コーポレート本部長の桐山英夫氏(左)、MCのハリー 杉山氏(右)

    株式会社yutori コーポレート本部長の桐山英夫氏(左)、MCのハリー 杉山氏(右)

「分からない方」に賭けてyutoriへ

美容師の仕事も税理士の仕事も充実していたという桐山氏。それでも環境を変えた理由のひとつに、「自分の良さを生かしきれていない」という感覚があった。

専門性をひとつに絞って極めるより、さらに仕事の幅を広げた方が自分に合っているのではないか――。そう考えて事業会社への転職を決め、出会ったのがyutoriだった。

当時はまだ規模も小さく、本社はアパートの一室。それでも上場を目指すという話を聞き、「分からない方に賭けてみよう」と入社を決めた。先行きが読めない状況を不安と感じるのか、それともワクワクと感じるのか。桐山氏にとっては後者だったという。

転職の基準は「心が踊るか」

会社を辞めるタイミングや次の環境は、何を基準に選べばいいのか。

桐山氏が挙げるのは、自分がときめきながら、やる気を持って仕事ができるかどうかだ。新しいことに挑戦できるワクワク感が見えたのであれば、転職も選択肢のひとつになる。一方で、不確実な状況に不安を感じるのであれば、安定を選ぶ方が合う人もいると話す。

キャリアに絶対的な正解があるわけではない。重要なのは、自分がどちらに心を動かされるのかを知ることなのかもしれない。

選んだ道を「正解」にしていく

桐山氏の考え方を象徴するのが、「感覚で選択して、論理(ロジック)で解釈する」という言葉だ。

意思決定の瞬間には直感を重視し、その後で「美容師の経験にはこんな意味があった」「税理士として学んだことが今につながっている」と、自分の選択を解釈してきたという。

未来がどうなるかは誰にも分からない。だからこそ桐山氏は、「自分が選択した道が正解だった」と考えられる思考を身につけることが、人生を楽しむことにつながるのではないかと語る。

美容師から税理士、そしてIPOやM&Aを担う仕事へ。一直線ではないからこそ見えてくるキャリアのつくり方とは何か。桐山氏がこれまでの選択をどう捉え、これから「イメージできないこと」にどう挑んでいくのか。その言葉から、自分自身の仕事や次の一歩を考えてみたくなる。