• 荷物を仕分けするFigure AIの人型ロボット「Figure 03」

    荷物を仕分けするFigure AIの人型ロボット「Figure 03」 wutianzeri -shutterstock-

中国でも大規模な投資と開発が進んでいる。欧州の中国研究機関MERICSによると、2025年に中国で生産された人型ロボットは約1万2800台で、世界全体の約9割を占めたとされる。

2026年8月に北京で開かれた「世界ロボット大会」には300社を超える企業が参加。人型ロボットが荷物を仕分けたり家事をこなしたりするなど、実際の利用を意識した展示も目立った。

続いて北京で開かれた「第2回世界人型ロボット運動会」では、世界各国の人型ロボットが短距離走やサッカー、卓球など、さまざまな種目で競った。会場では、二足歩行やバランス制御、俊敏性などの進歩が披露された。大型部門の100メートル走では8.64秒を記録し、ウサイン・ボルトが持つ人間の世界記録9.58秒をタイム上は上回るなど、人型ロボットの運動性能の向上を印象づけた。

  • 観客の目の前でサッカーボールを蹴る人型ロボット

    観客の目の前でサッカーボールを蹴る人型ロボット wutianzeri -shutterstock-

人型ロボット普及に残された課題

日本にとって、人型ロボットへの期待が大きい理由の一つが労働力不足だ。経済産業省は、人口減少によって労働供給が減少する一方、AIやロボットの活用などを進めることで、2040年時点の労働力不足を一定程度抑えられるシナリオを示している。試算では、AIやロボットの活用などによる労働の質の向上によって、約200万人分の不足を補える可能性が示されている。

ただし、ここでいう「AIやロボット」には人型ロボット以外の技術も含まれる。この試算をそのまま人型ロボットによる労働力不足の解消効果とみなすことはできない。

さらに、実証実験で成果が出ても、すぐに大量導入できるわけではない。大きな壁の一つがコストだ。マッキンゼーの分析では、現在の高度なヒューマノイドは1台15万~50万ドル程度の価格帯にあり、大規模な普及には2万~5万ドル程度までのコスト低下が求められるとみられている。また、現在の多くの機体は1回の充電で2~4時間程度しか連続稼働できず、8~12時間程度の一般的な勤務時間をカバーするには、稼働時間の延長も課題となる。

企業にとっては機体の価格だけでなく、保守費用や充電設備、ソフトウエアなどを含め、人間を雇用する場合や既存の自動化設備と比較して採算が合うかどうかも重要になる。

安全性も大きな課題となる。人間と同じ空間で動く以上、人との衝突や故障などに備える必要がある。さらに、カメラやセンサーを使って周囲を認識し、ネットワークを介してデータを送受信するため、サイバーセキュリティやデータ保護への対応も欠かせない。