2026年10月1日から、改正労働施策総合推進法に基づき、事業主にはカスタマーハラスメント(カスハラ)防止のため、方針の明確化・周知、相談体制の整備、発生後の迅速かつ適切な対応などが義務付けられた。カスハラは、顧客や取引先との関係を保ちながら対応する必要があるため、現場の従業員だけで判断・対処するのが難しい場面もある。顧客対応を担う従業員だけでなく、上司や人事・労務、総務など相談を受ける側にとっても、社内のルールや窓口が実際に機能するかが重要になる。KiteRaが20歳以上のビジネスパーソン965人を対象に実施した調査から、カスハラ経験と、義務化直前の勤務先の対策状況をみていく。
直近1年間に19.8%がカスハラを経験
KiteRaが20歳以上のビジネスパーソン965人に、直近1年間に勤務先でカスハラを受けたことがあるか尋ねたところ、19.8%が「はい」、80.2%が「いいえ」と回答した。5人に1人が、直近1年間に勤務先でカスハラを受けた経験がある計算だ。
カスハラを受けたことがある191人に相手を複数回答で尋ねると、「一般消費者」が73.8%で最多だった。「取引がある、法人担当者」が32.5%、「取引がない、法人担当者」が8.9%、「その他」が2.1%となった。
カスハラを受けた際の対応では、「上司に相談・報告した」が47.6%で最も多かった。「人事・労務部門、総務部門、法務・コンプライアンス部門など社内の担当部署に相談・報告した」が31.4%、「同僚に相談した」が20.4%と続く。 一方、「社内のハラスメント相談窓口・対策担当部署に相談した」は14.7%で、「特に何もしなかった」人も12.6%いた。
経験者の74.9%、会社への相談・報告をためらう
カスハラを受けたことがある191人に、会社への相談・報告をためらったことがあるか尋ねると、74.9%が「はい」と回答した。カスハラ経験者のおよそ4人に3人にあたる。
相談・報告をためらった人に理由を複数回答で尋ねたところ、「取引先との関係悪化が心配だった」が38.5%で最多だった。「大事にしたくなかった」が35.0%、「売上や契約への影響が心配だった」が30.8%と続いた。
カスハラ相談窓口「ない」36.0%、100名以下では58.6%
勤務先に設置されているカスハラの相談窓口については、「相談窓口はない」が36.0%で最も多かった。「分からない」が27.3%、「一次相談対応者(上長)」が22.2%、「専門相談窓口(カスハラ対策本部の受付窓口)」が20.8%、「外部相談窓口」が8.1%だった。企業規模別にみると、従業員100名以下の企業では58.6%が「相談窓口はない」と回答している。
また、勤務先がカスハラの相談窓口を従業員に周知しているかについては、68.3%が「いいえ」、31.7%が「はい」だった。従業員1,001名以上の企業でも、「周知していない」にあたる「いいえ」が54.7%を占めた。
判断基準なし59.6%、方針未整備61.3%
「正当なクレーム」と「カスハラ」を判断する基準については、59.6%が「判断基準は設けられていない」と回答した。 判断基準があり、内容も十分に理解している人は14.6%だった。一方、「判断基準はあるが、内容をあまり理解できない」が19.9%、「判断基準はあるが、内容を全く理解できない」が5.9%となっている。従業員1,001名以上の企業でも47.7%が「判断基準は設けられていない」とした。
カスハラ対策の整備状況では、「カスハラの方針の明確化と周知」は61.3%が「整備されていない」と回答した。「方針や対応ルールの社内規程・ガイドライン等への明文化と周知」は60.9%、「対応手順を定めたマニュアルや手順書の作成・周知」は63.4%が未整備だった。
教育・研修についても、「ない」と回答した割合は「全従業員向け研修」で75.9%、「顧客対応部門向け研修」で81.1%、「管理職向け研修」で77.2%と、いずれも7割を超えた。
カスハラ発生時の対応部門「ない」49.6%
カスハラが発生した際に対応する部門・組織については、「対応する部門・組織はない」が49.6%で最多だった。「総務」が20.9%、「人事・労務」が18.8%、「法務・コンプライアンス」が14.8%、「主要な現場部門の代表者」が9.0%となった。 企業規模別では、従業員100名以下の企業で「対応する部門・組織はない」が68.1%に上った。
カスハラを受けた経験者の74.9%が会社への相談・報告をためらっていた一方、相談窓口の未周知や方針・マニュアルの未整備も多くみられた。働く人は勤務先の相談先や対応ルールを確認し、企業側は窓口や対応部門が従業員に周知されているかを改めて確認しておきたい。
調査名:カスタマーハラスメント(カスハラ)に関する実態調査 調査方法:インターネットによるアンケート調査 調査期間:2026年9月10日〜9月11日 有効回答:Q1、Q5〜Q10は20歳以上のビジネスパーソン965人。Q2〜Q4は、Q1で直近1年間に勤務先でカスハラを受けたことが「ある」と回答した191人 調査企画:KiteRa 補足:構成比は小数点第2位を四捨五入 ※本調査でいう「ビジネスパーソン」とは、正社員/契約社員/派遣社員/会社経営者・役員として勤務する人を指す。










