SaaS企業が新たな市場へ進出するとき、SaaSビジネスの経験だけでなく、進出先となる業界の商習慣や業務を理解している人材も重要になる。
エムエム総研が運営するSaaSセールス特化型転職エージェント「マーキャリNEXT CAREER」は、SaaS事業を展開する企業の責任者・マネージャー層1,033人を対象に、「ドメインエキスパート」の活用実態を調査した。
ここでいうドメインエキスパートとは、特定の業界や業務領域について深い知識・経験を持つ人材を指す。調査では、ビジネス職の採用で「特定の業界・業務領域での経験」を重視する回答が48.0%となり、「SaaS業界での経験」の32.9%を上回った。
調査の結果は、SaaS企業への転職を考える人にとっても参考になるだろう。
SaaS企業の91.3%が新たな業界・業務領域へ展開
調査において、事業成長に向けて、特定の業界・業務領域への新規展開・拡大を進めているか尋ねたところ、「積極的に進めている」が41.9%、「一部進めている」が49.4%だった。合わせると91.3%が新たな領域への展開を進めている。
新たな領域への展開を進めている企業などに課題を尋ねると、「特有の法規制やルールの対応」が51.7%で最多だった。次いで「現場のリアルな業務課題の理解」が43.5%、「独自の商習慣や決裁フローの把握」が35.8%で続いている。
SaaS企業が新たな領域へ事業を展開するとき、業界ごとに異なるルールや現場の業務、意思決定の流れなどを把握することが課題となっていることが分かる。
営業・CSでは「業界・業務領域での経験」を重視
人材採用の際に重視される経験は、職種によっても異なる。
調査において、営業やCS(カスタマーサクセス)などのビジネス職を採用する際、どの経験を重視するかを質問したところ、部門によって回答に違いがみられた。
経営統括部門では「SaaS業界での経験」が49.2%と最多で、「特定の業界・業務領域での経験」は34.0%だった。
一方、営業部門やCS・サポート部門では「特定の業界・業務領域での経験」を重視する割合が最も高く、営業部門で54.2%、CS・サポート部門で51.2%となった。
「SaaS業界での経験」を重視する割合は、営業部門で23.2%、CS・サポート部門で31.9%となっている。
営業やCS・サポート部門では、顧客と直接やり取りすることも多いため、顧客が属する業界や実際の業務への理解もより重視されているものと考えられる。
SaaS企業への転職を考える場合は、どの部門に応募するかによっても、訴求すべきポイントが変わってくるだろう。
ドメインエキスパートへの期待、1位は「商談化率・受注率の向上」
特定の業界や業務領域について深い知識・経験を持つ人材、すなわちドメインエキスパートには、具体的に何が期待されているのだろうか。
調査において、ドメインエキスパートに期待する役割では、「商談化率・受注率の向上」が33.8%で最多だった。次いで「ドメインへのプロダクト適合(PMF)加速」が32.8%、「解約率改善・LTV向上」が29.5%となっている。
また、ドメインエキスパートを優先して配属すべきポジションでは、「カスタマーサクセス」が36.7%で最も多かった。次いで、「マーケティング・広報」が35.3%、「営業」と「RevOps・イネーブルメント」がそれぞれ31.5%で続いた。
受注だけでなく、導入後の顧客支援やサービスの市場適合、継続利用など、幅広い場面で業界知識を持つ人材が求められていることがうかがえる。
異業種から採用した人材、68.0%が「期待通り以上」
特定の業界や業務領域についての知識・経験を持つドメインエキスパートを、異業種から採用した場合、その人材は入社後にどの程度活躍しているのだろうか。
調査では、異業種から採用したドメインエキスパートの活躍について、「期待以上に活躍している」が16.2%、「おおむね期待通り活躍している」が51.8%だった。合わせると68.0%となる。
一方、「期待をやや下回っている」は24.4%、「期待を大きく下回っている」は4.5%。「採用したことがない」は3.1%だった。
なお、「採用したことがない」と回答した人を除いて計算すると、期待通り以上と回答した割合は7割を超える。
さらに、今後2年間でドメインエキスパートの採用を強化したいか尋ねたところ、「積極的に強化したい」が29.3%、「やや強化したい」が52.7%だった。合わせて82.0%が採用強化の意向を示している。
自由回答では、業界経験者を採用したことで「業界固有のルールや慣習への理解が促進された」といった肯定的な声があった一方、IT関連の知識や企業文化への適応などを課題として挙げる回答もみられた。
自分が詳しい業界・業務から自身の強みを整理してみる
今回の調査の結果を踏まえると、SaaS企業への転職を考える人にとっては、SaaS業界での経験だけが評価材料になるとは限らない。
これまで働いてきた業界の商習慣や業務への理解が、営業やカスタマーサクセスなどで求められる可能性もある。
自身の経験を「どの業界・業務に詳しいか」という視点から整理した上で、その経験が求められる企業や部門を探してみるのもひとつの方法だ。
調査概要:SaaS企業における「ドメインエキスパート」活用実態調査 調査期間:2026年8月14日~2026年8月17日 調査方法:PRIZMAによるインターネット調査 調査人数:1,033人 調査対象:調査回答時にSaaS事業を展開する企業の責任者・マネージャー層と回答したモニター 調査元:エムエム総研 モニター提供元:サクリサ



