社内で新しいツールやサービスを導入するとき、担当者が必要性を感じていても、上司や管理部門、経営層などへの説明や承認が必要になるケースがある。稟議では、費用、期待できる効果、自社の課題との関係などをどのように示すかが重要な論点になる。ネオマーケティングが直近1年以内にBtoB商材導入の社内稟議に関わった540人を調査したところ、差し戻しや導入断念を経験した人はいずれも約6割だった。営業側が渡す資料も、すべてが稟議に役立つわけではない。社内で導入提案を担う人やBtoB営業担当者にとって、承認時に重視された情報を確認できる結果となっている。

稟議の差し戻し57.2%、導入断念57.8%

直近で行った、または最も印象に残っている社内稟議について、承認されるまでに差し戻し(修正・再提出)があったかを尋ねたところ、57.2%が「差し戻しを経験した」と回答した。

また、過去1年間に「稟議が通らず、導入を断念した経験」がある人も57.8%に上った。

稟議書には、背景・課題や費用、期待効果など13項目のうち平均4.35項目を記載。自社の実績データやROI試算などの根拠データも、14項目のうち平均2.91種類を用意していた。複数の項目や根拠を準備している一方で、差し戻しや導入断念を経験した人が約6割となっている。

最も説得力があった根拠は「営業担当者からの提案書」

稟議承認において「最も説得力があった」と感じた根拠・データでは、「営業担当者からの提案書」が14.6%で最多だった。「自社の売上・実績データ」が14.1%で続き、「他社の導入事例」が9.3%だった。

「ROI試算(投資回収シミュレーション)」と「顧客データ」は、それぞれ8.5%。「市場規模データ」は6.3%、「業界レポート」は5.9%、「顧客アンケート結果」は5.6%となった。

営業担当者から提供された提案書と、自社で蓄積した売上・実績データが上位を占める結果となっている。

「明確な費用対効果」43.7%、ROI試算の準備は19.3%

稟議が承認される際のポイントでは、「明確な費用対効果」が43.7%で最も多かった。

一方、稟議作成時にROI試算を根拠として実際に準備していた人は、全体の19.3%だった。

ROI試算を利用した104人に限ると、33.7%が稟議承認に「非常に影響した」と回答しており、調査した根拠・データ15項目の中で最も高かった。ただし、全回答者540人のうち「最も説得力があった」根拠としてROI試算を選んだ割合は8.5%である。

費用対効果を重視する回答が多い一方、それを数値で示すROI試算を実際に準備していた人は2割弱という結果となった。

営業資料、稟議に役立った割合は平均59.8%

導入検討時に営業担当者から提供された資料について、提供を受けた人のうち「実際に稟議を通す上で役立った」と答えた割合をみると、「見積書」が73.2%で最も高かった。

次いで「競合比較表」67.6%、「提案書」66.2%、「導入事例」63.3%となった。一方、「Q&A想定問答集」は48.8%、「デモ・トライアル」は48.4%、「導入企業への訪問ヒアリング機会」は44.7%だった。

営業担当者から提供された資料14項目、提供延べ1,400件を通算すると、稟議を通す上で「役立った」割合は59.8%。残る40.2%は「役に立たなかった」とする結果である。

BtoB商材の導入提案や営業資料を作る際は、単に資料の数を増やすだけでなく、費用対効果や自社データ、見積書や比較情報など、承認時に求められる根拠がそろっているかを確認することが重要だ。稟議を起案する側と営業側の双方にとって、資料の中身を見直す際の参考になりそうだ。

調査の方法:ネオマーケティングが運営するアンケートシステムを利用したWEBアンケート方式 調査の対象:直近1年以内に「BtoB商材導入における社内稟議」に承認・提案・情報収集のいずれかの立場で関与している国内BtoB企業勤務者 有効回答数:540名 調査実施日:2026年8月17日(月)〜8月18日(火) 調査実施機関:ネオマーケティング(東証スタンダード上場)

出典:【NEO】社内稟議はなぜ通らない? BtoB担当者540人調査でわかった「稟議を通す資料」の作り方