部下を育て、部署の目標を達成し、業務改善にも取り組みながら、自らプレイヤーとして実務を担う。そんなプレイングマネジャーの仕事が広がるなか、仕事の負担や育成の難しさが浮き彫りになっている。

管理職が重要だと考える役割では「メンバーの育成」が46.0%で最多だった一方、「メンバーの育成・能力開発をすること」は54.0%が難しいとした。管理職本人だけでなく、部下を持つ人や次の管理職候補、人事担当者にとって、役割と支援のあり方を考える材料となる調査だ。

リクルートマネジメントソリューションズは、従業員100名以上の企業に勤める人事担当者500名と管理職層500名を対象に、「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2026」を実施した。

人事担当者71.0%、管理職層78.0%が管理職に課題感

自社の管理職層に関する課題感を尋ねたところ、「強い課題感を持っている」「やや課題感を持っている」を合わせた割合は、人事担当者で71.0%、管理職層で78.0%となった。

具体的な課題では、課題感を持つ人事担当者355人のうち「管理職としてのパフォーマンスが不十分」が53.2%で最多だった。同じく課題感を持つ管理職層390人では「管理職の仕事の増加や期待の高まりにより、負担が大きくなっている」が44.9%で最も高く、「管理職候補が不足している」が43.8%で続いた。

人事側では管理職のパフォーマンス、管理職側では仕事や期待の増加による負担が上位となり、立場によって課題の捉え方に違いもみられる。

「メンバーの育成」が期待と難しさの双方でトップ

人事担当者に管理職へ期待することを聞くと、「メンバーの育成」が41.8%で最も高く、「部署内の人間関係の円滑化」26.4%、「業務改善」25.6%が続いた。

管理職自身が重要だと考えている役割でも、「メンバーの育成」が46.0%でトップだった。次いで「担当部署の目標達成/業務完遂」34.8%、「業務改善」33.4%となっている。

一方、日々のマネジメント業務で難しいことでは、「メンバーの育成・能力開発をすること」が54.0%で最多だった。「メンバーの仕事に向けたやる気を高めること」が41.0%、「効率化のために仕事の進め方などを改善すること」が37.4%で続く。

育成は、人事担当者と管理職の双方から重視されている一方、管理職自身が最も難しさを感じる業務でもあることが分かる。

マネジメント業務の比率は「50%」が最多

管理職に、日々の業務のうちマネジメント業務が占める割合を聞いたところ、最も多かったのは「50%」の20.6%で、「30%」が18.6%で続いた。「100%」と回答した管理職は3.6%だった。

マネジメント業務比率が100%ではない管理職482人にプレイヤー業務を行う理由を聞くと、「メンバーに知識・スキルが不足しており仕事を一任できない」が35.5%で最多となった。

次いで「メンバーに時間的な余裕がなく仕事を一任できない」が32.4%、「メンバーに開示できない情報を含んでいる業務がある」が29.3%だった。管理職がマネジメントだけでなく、自ら実務も担っている背景には、業務をメンバーへ任せにくい事情があることがうかがえる。

必要な支援は負荷軽減、AI活用サポートも検討上位

人事担当者がすでに実施している管理職向け支援では、「評価者研修」が33.6%で最多。「マネジメントに関する研修・eラーニングの提供」が32.8%、「昇格後のフォロー研修」と「人事による個別サポート」がともに27.4%だった。

一方、これから実施を検討している支援では、「マネジメントにおけるAI活用のサポート」が25.6%で最も多く、「マネジメント業務の負荷を軽減するための取り組み」が24.6%、「外部コーチによる個別コーチング」が21.8%となった。

管理職が「あってよかった」とした支援では、「マネジメントに関する研修・eラーニングの提供」が17.8%でトップだった。

これに対し、「今はないが必要としている支援」では、「マネジメント業務の負荷を軽減するための取り組み」が15.0%で最も多く、「外部コーチによる個別コーチング」12.0%、「マネジメントにおけるAI活用のサポート」11.4%が続いた。

管理職志望者の減少が最大の課題

人事担当者に課長・マネジャー候補の育成や選抜で難しいことを聞いたところ、「課長・マネジャーになりたいという社員が減っている」が34.0%で最多だった。

「課長・マネジャー候補に向けた育成の進め方」と「課長・マネジャーになる前に必要な経験を積ませること」は、ともに31.6%となっている。

管理職候補者を増やすために実施している取り組みでは、「キャリア面談などを通じた管理職志向の確認と支援」が23.0%で最も高かった。一方、「実施していることはない」は32.8%で、約3社に1社にあたる。

管理職をめぐる課題は、現在の管理職への支援だけでなく、次の管理職候補をどう確保し、育てるかにも及んでいる。

管理職の生成AI活用、49.4%は「あてはまるものはない」

管理職にマネジャーの役割・業務で生成AIを活用しているものを聞いたところ、「計画・企画立案」が14.8%、「業務の改善」が14.0%、「人材育成」が12.6%だった。

一方、「あてはまるものはない」は49.4%となり、約半数は調査で挙げられたマネジメント業務で生成AIを活用していなかった。

生成AIによって削減できる業務量については、人材マネジメントで40.4%、仕事マネジメントで39.6%が「分からない/判断できない」と回答している。

一方、人材マネジメントへの生成AI活用について回答した管理職層151人では、実際に起こった変化として「人材マネジメントの計画や内容の質の向上」が26.5%で最も高かった。「人材マネジメント業務の効率化・時間短縮」は22.5%、「チームや組織全体にポジティブな影響を与えること」は21.9%だった。

管理職が「今はないが必要としている支援」では、「マネジメント業務の負荷を軽減するための取り組み」が15.0%で最も多かった。管理職は自身の業務配分を、人事担当者は現在実施している支援と管理職が必要とする支援にずれがないかを、今回の結果と照らし合わせてみてはどうだろうか。

調査名:マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2026 調査日:2026年6月 対象者:企業の人事担当者、管理職層 調査方法:インターネット調査 人数:1,000名(内訳:人事担当者500名、管理職層500名)