高校生の就職活動では、大学生のように複数企業へ同時に応募する方式とは異なり、多くの地域で選考開始当初は応募先を1社に絞る「一人一社制」が採用されている。応募可能な企業数や複数応募の開始時期は都道府県によって異なるため、応募前の職場見学や企業説明会などで情報を集めることも重要になる。どの企業が高卒者を採用するか、入社後にどのような育成体制があるかは、就職を考える高校生や家族にとって進路選択に関わる情報だ。企業側でも、若手人材の確保や技能継承のため、高卒採用を人材確保の選択肢として捉えている。帝国データバンクの調査から、2027年度の採用予定や企業規模・業界による差、採用理由と課題をみていく。
高卒採用「予定あり」は24.4%、大企業では42.7%
帝国データバンクが全国の企業に2027年度の高卒採用予定を尋ねたところ、「増加する(見込みを含む)」は4.9%、「変わらない(見込みを含む)」は15.0%、「減少する(見込みを含む)」は4.5%だった。この3区分を合わせた「予定あり」は24.4%となり、およそ4社に1社が高卒者の採用を予定している。
一方、「予定はない」は60.1%、「分からない」は15.6%だった。「予定あり」のなかでは「変わらない」の割合が最も高く、採用予定企業の多くは前年並みの人数を見込んでいる。
企業規模別にみると、「予定あり」は大企業で42.7%となり、中小企業の21.2%を21.5ポイント上回った。中小企業のうち小規模企業では11.2%にとどまった。従業員数別では、「5人以下」の7.2%から従業員数が多くなるにつれて割合が上昇し、「101~300人」は50.6%、「301~1,000人」は54.5%、「1,000人超」は58.9%だった。業界別では、製造が36.4%で最も高く、建設35.0%、金融32.2%が続いた。
企業からは、現場で育成できるため学歴を問わず意欲のある人材を受け入れたいとの声がある一方、入社後の教育や業務経験の蓄積が必要なことから、若手採用を慎重に判断しているとの意見も寄せられている。
採用理由は「若手人材の確保」が85.2%
2027年度の高卒採用について「予定あり」と回答した2,573社に採用理由を尋ねたところ、「若手人材の確保」が85.2%で最も高かった。 次いで「人手不足の解消」が52.5%、「将来の中核人材の確保」が50.2%となった。「地元・地域人材の確保」は47.1%、「従業員の年齢構成の改善」は46.2%で続いている。
企業からは、社員が培った技術を次世代へ継承するために高卒採用を進めたいとの声や、高卒者は若いうちから自社の業務に合わせて育成しやすいとの意見があった。 高卒採用を、足元の人手不足への対応だけでなく、将来の中核人材の確保や技能・技術の継承につなげようとする企業の考えが表れている。
「応募者数の不足」36.4%、育成や早期離職も課題
高卒採用で特に課題と感じていることでは、「応募者数の不足」が36.4%で最多だった。「企業認知度の不足」が31.1%、「教育・育成の負担の大きさ」が24.6%、「早期離職」が20.3%、「高校・教員との関係構築」が18.1%で続いた。
企業からは、高卒の就職希望者が減少し、採用活動をしても応募につながりにくいとの声が寄せられている。また、高校訪問や企業説明会に力を入れたいものの、採用担当者がほかの業務を兼務しているため、十分な活動が難しいとする小規模企業の意見もあった。入社後についても、時間をかけて育成した後に離職してしまうケースがあるとの声があり、応募者の確保だけでなく、採用活動を担う体制や教育・育成、定着まで幅広い段階が課題となっている。
高卒採用を予定する企業の割合には、企業規模によって大きな差がある。就職を考える高校生や家族は、求人条件だけでなく、職場見学や説明会を通じて仕事内容や教育体制、身につけられる技能などを確認しておきたい。企業側も、応募前の情報提供から入社後の育成・定着までを通して採用体制を見直すことがポイントとなる。
調査期間:2026年8月18日~8月31日 調査方法:インターネット調査 調査対象:全国2万2,060社 有効回答企業:1万560社 回答率:47.9%



