2028年4月から、これまで努力義務だった労働者50人未満の事業場でもストレスチェックの実施が義務化される予定だ。小規模な職場では、専任の人事・労務担当者がいないケースもあり、通常業務と並行して制度の理解や実施体制を整える必要がある。フォーバル GDXリサーチ研究所とタニタヘルスリンクが中小企業経営者800人を調査したところ、79.4%が従業員のメンタルヘルスは経営や業務に影響すると認識していた一方、義務化の認知は33.3%、ストレスチェックの実施率は11.9%だった。制度を知るだけでなく、実施者の選任や運用方法まで準備できているかが課題となっている。
メンタルヘルスの経営への影響、79.4%が認識
従業員のメンタルヘルスが経営や業務に与える影響について、「大いに影響すると思う」は36.0%、「ある程度影響すると思う」は43.4%だった。合わせて79.4%が影響すると認識している。
一方、従業員のメンタルヘルス不調の予防を目的としたストレスチェック制度について、「知っており、他の人に説明できる」は13.4%、「知っているが、説明できるほどではない」は42.0%で、認知している企業は55.4%だった。
メンタルヘルスが経営や業務に関わるとの認識に比べ、ストレスチェック制度を具体的に理解している企業は限られている結果となった。
従業員のメンタルヘルスが経営や業務に影響すると考える企業は79.4%。ストレスチェック制度の認知は55.4%だった。
2028年の義務化、認知は33.3%
2028年4月から50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化される予定であることを「知っている」と答えた企業は33.3%だった。「知らない」は66.8%で、約3分の2を占めた。
ストレスチェックを実施する際には、医師や保健師などの資格を持つ実施者の選任が必要となる。調査では、「法令上のルールを理解しており、実施者も選任できている」は14.4%だった。一方、「法令上のルールがあることを知らなかった」は54.9%に上った。
義務化そのものの認知に加え、実際の運用に必要な体制づくりについても準備状況に差がみられた。
ストレスチェック実施率は11.9%
ストレスチェックを「実施している」と答えた企業は11.9%だった。「必要だと思うが実施できていない」は42.0%、「実施しておらず現時点では実施する予定もない」は46.1%となった。
なお、2028年4月からの義務化を知っている企業に限定すると、「実施している」は33.1%まで上昇している。
ストレスチェックを実施している企業は11.9%。「必要だと思うが実施できていない」は42.0%だった。
未実施の理由、「対応できる人材がいない」38.1%
ストレスチェックを実施している95社に課題を聞いたところ、「特に課題はない」が32.6%で最多だった。一方、「実施・運用に手間や工数がかかる」は23.2%、「結果の分析・活用方法が分からない」は22.1%、「ストレスチェック制度について十分に理解できていない」は21.1%だった。
また、「必要だと思うが実施できていない」と回答した336社に未実施の理由を聞くと、「対応できる人材がいないから」が38.1%で最多となった。「実施・運用方法が分からないから」が36.9%、「時間的な余裕がないから」が28.3%と続く。
人手だけでなく、制度をどのように運用するかというノウハウも実施の課題となっている。
ストレスチェックを実施できていない理由は「対応できる人材がいないから」38.1%が最多。「実施・運用方法が分からないから」36.9%が続いた。
実施企業の9割超が「集団分析」
ストレスチェックを実施している95社では、回答企業の9割以上が「集団分析」を実施していた。
集団分析とは、ストレスチェックの結果を部署や職場ごとに、個人を特定できない形で集計・分析し、職場全体のストレス傾向や課題を可視化する手法である。実施は努力義務となっている。
実施主体では「自社で実施している」が49.5%で最も多く、「ストレスチェック実施機関に依頼して実施している」が23.2%、「外部専門家・外部サービスを活用して実施している」が19.0%だった。
分析結果を踏まえた対応では、「職場環境の改善に取り組んでいる」が57.5%、「従業員に相談窓口や面接指導について案内している」が43.7%と上位を占めた。
必要な支援、結果の分析・可視化が40.0%
ストレスチェック実施企業に、健康経営施策やストレスチェックの推進に向けて必要な支援を聞くと、「ストレスチェック結果の分析・可視化、及び活用法の支援」が40.0%で最多だった。
次いで「健康経営の改善施策の提案」が29.5%。「専門家への相談機会」「従業員向けの健康教育・研修」「健康管理プログラムの提供」は、いずれも25.3%だった。
また、今後の健康経営について「積極的に強化したい」は13.0%、「ある程度強化したい」は37.0%で、合わせて50.0%だった。ストレスチェック実施企業に限ると、強化したい企業は46.3%となっている。
義務化に向け、実施体制の確認を
2028年4月のストレスチェック制度実施の義務化に向け、対象となる事業場では制度の内容だけでなく、実施者の選任や運用方法、結果をどう活用するかまで確認しておきたい。社内で対応が難しい場合は、外部機関や専門家の活用も含め、余裕を持って実施体制を整理することが準備の第一歩となる。
調査主体:フォーバル GDXリサーチ研究所、タニタヘルスリンク 調査期間:2026年7月9日〜2026年7月11日 調査対象者:従業員規模1名〜49名の中小企業経営者 調査方法:ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析 有効回答数:800人







