「電話がつながらない」「担当者が変わるたびに同じ説明を求められる」。企業の問い合わせ窓口では、こうした体験が顧客の不満につながり、結果として電話を受ける担当者はイラ立った顧客に対応することがある。
2026年10月1日からは、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が企業に義務づけられた。問題となる言動への対応に加えて、顧客が不満を募らせる前の仕組みにも関心が向きそうだ。
モビルス、IVRy、RightTouchの3社は、過去1年以内に企業の窓口へ問い合わせた生活者550人と顧客対応従事者400人を調査。電話の待ち時間や案内方法、顧客の言動について双方の回答をまとめた。
電話問い合わせのストレス、最多は「つながらない」60.4%
生活者に、これまでの電話問い合わせでストレスや不快感を感じた場面を複数回答で尋ねたところ、「電話がなかなかつながらない」が60.4%で最多だった。次いで「担当者を何度もたらい回しにされる」が42.4%、「欲しい回答が得られない・疑問が解決しない」が39.1%、「同じ状況や説明を繰り返させられる」が37.6%と続いた。
こうしたストレスや不快感を感じた経験がある499人のうち、61.9%が普段とは違う口調や言葉遣いになった経験があると回答した。
内訳は「いつもより口調が強くなってしまった」が25.5%、「強い言葉を使ってしまった」が23.6%、「口調が強くなったことも、強い言葉を使ったこともある」が12.8%だった。
また、その場では正当な主張だと思っていたものの、後から「少し言い過ぎたかもしれない」と気づいた経験があると回答した人は63.7%に上った。
電話待ち「3分」でイラ立つ生活者33.8%、現場も34.8%で最多
電話がつながるまで何分待たされるとイラ立つかを生活者550人に尋ねたところ、「3分」が33.8%で最多だった。「5分」が25.3%、「10分以上」が17.3%と続いた。
「30秒以内」(3.1%)、「1分」(15.3%)、「3分」(33.8%)を合わせると52.2%となり、半数以上が3分以内の待ち時間でイラ立ちを覚えると回答した。
一方、顧客対応従事者に、電話の待ち時間が何分を超えると顧客の強い口調や苦情が増えると感じるかを尋ねたところ、こちらも「3分」が34.8%で最多。「1分」と「5分」がそれぞれ18.3%で続いた。
「30秒」「1分」「3分」の合計は57.4%となり、生活者と顧客対応従事者の双方で、3分が最多の回答となった。
顧客対応従事者の51.8%、案内フローの不備が顧客の怒りの引き金になったと実感
顧客対応従事者に、自社の案内フローや仕組みの不備が顧客を怒らせる引き金になったと感じた経験を尋ねたところ、「よくある」が13.5%、「たまにある」が38.3%だった。合わせて51.8%が経験ありと回答した。
電話の待ち時間や情報連携不足、たらい回しなど、応対する担当者個人だけでなく、企業側の仕組みも顧客の不満につながっている可能性がうかがえる。
また、電話に出た時点で、すでに顧客が感情的になっていたと感じた経験がある人は55.8%だった。応対を始める前から顧客の不満が高まっていると感じる従事者も多いようだ。
カスハラ対応の負担が退職や異動を考えるきっかけになるかという質問では、「すでに退職・異動を考えたことがある(実体験あり)」が10.3%、「きっかけになると思う」が54.8%だった。合わせて65.1%が、退職・異動のきっかけになり得ると回答した。
生活者65.0%が要望を飲み込んだ経験 AI対応への期待も
生活者に、本当は伝えたいことがあったのに「嫌な顧客と思われたくない」「カスハラのように思われたくない」と感じて言葉を飲み込んだ経験を尋ねたところ、「よくある」が23.9%、「たまにある」が41.1%だった。
合わせて65.0%が、言いたいことを飲み込んだ経験があると回答した。
顧客対応従事者側でも、「言いたいことがあるのに我慢しているように感じる顧客」がいると答えた人は56.1%に上った。
こうしたなか、AIによる電話対応への期待もみられた。生活者に対し、AIがスムーズに電話対応することで感情的な言動をする人が減ると期待できるかを尋ねたところ、「期待できる」が12.4%、「やや期待できる」が43.5%で、合計55.9%だった。
顧客対応従事者への調査でも、AIが初期対応を担い、適切な担当者へ接続することで心理的負担が軽減されると答えた人は49.5%に上った。
今回の調査では、顧客と対応従事者の双方から、電話の待ち時間や案内フローに関する課題が示された。企業の問い合わせ窓口に関わる人は、電話がつながるまでの時間や担当者への引き継ぎ方法など、日常の対応の流れを改めて確認してみてはどうだろうか。











