2026年度の最低賃金改定を巡り、働く人と雇用する企業の間で、引上げ額に対する考え方の違いがみられた。引上げが続く一方で、雇う側の企業では人件費の負担を懸念する声も多い。

マイナビが発表した「最低賃金に関する調査レポート(2026年)」では、アルバイト就業者の約7割が改定による仕事や私生活への効果を期待できないと回答した。一方、企業側では約8割が最低賃金改定による雇用への負担を予想している。また、最低賃金の地域格差を感じる就業者は70.4%に上り、より時給の高い近隣地域で働く「越境バイト」への関心もみられた。

最低賃金改定、就業者の約7割が仕事・私生活への効果に期待できず

マイナビが全国のアルバイト就業者2,741人に、2026年度の最低賃金改定後の期待を聞いたところ、いずれの項目でも「期待できない(計)」が約7割となった。

項目別では、「自身が希望する時給額になること」に期待できない人が69.5%、「私生活が豊かになること」は74.9%、「仕事への意欲が高まること」は71.8%だった。

最低賃金の引上げが、希望する収入や生活の豊かさ、仕事への意欲につながると考えていない人が多いことがわかった。

続いて、2026年度の最低賃金改定について、適正だと思う全国平均額の引上げ額を聞いたところ、「100円以上」が40.2%で最多となった。

次いで「50円以上60円未満」が19.7%だった。

2026年度の最低賃金改定の全国平均の目安額は55円で、過去2番目に高い水準だったものの、それを上回る引上げを求める回答が多くみられた。

企業が適正と考える引上げ額は「30円未満」が最多

一方、アルバイトを雇用している企業の採用担当者666人に同じ質問をしたところ、適正だと思う全国平均額の引上げ額は「30円未満」が22.4%で最多だった。

次いで「50円以上60円未満」が19.7%となった。

アルバイト就業者では「100円以上」が40.2%で最多だったのに対し、企業では「30円未満」が最も多く、両者の回答傾向に差がみられた。

最低賃金の地域格差を70.4%が実感 47.3%が「越境バイト」に関心

最低賃金は都道府県ごとに異なるため、住んでいる地域と近隣地域で時給に差が生じることがある。

こうした最低賃金の地域格差について、全国のアルバイト就業者2,741人の70.4%が「感じている」と回答した。前年に続き7割を超える結果となった。

また、時給が高い近隣地域でアルバイトをしたいと感じたことがある人は47.3%で、前年から3.7ポイント増加した。

実際に時給が高い近隣地域でアルバイトをした経験がある人も19.1%となり、前年から1.2ポイント増加している。

近隣の時給が高い地域へ移動して働く「越境バイト」に対して、約半数が関心を持ち、約2割が実際に経験していることがわかった。

企業の76.9%が最低賃金改定を負担と予想

アルバイトを雇用している企業の採用担当者666人に、2026年度の最低賃金改定による雇用への負担を聞いたところ、「負担となる(計)」は76.9%だった。

企業規模別にみると、従業員数が少ない企業ほど負担感が高い傾向もみられた。

さらに、最低賃金改定後に予想される対応を複数回答で聞いたところ、「雇用人数を見直す」と「時給額を見直す」がいずれも16.8%で、対応策の中では最も多かった。

次いで「新規募集をおさえる」が16.2%だった。

一方で、「対応しない予定」と答えた企業も37.7%に上る。

最低賃金の引上げを受け、企業では時給額や雇用人数、新規募集の見直しが想定されている。改定のたびに慌てないよう、人件費の見通しを早めに立てておきたい。働く側も、近隣地域の時給や通勤の負担を比べ、働き方を選ぶ材料にしたい。

【調査概要】 調査名:最低賃金に関する調査レポート(2026年) 調査目的:最低賃金およびアルバイト時給の実態を明らかにすること 調査地域:全国 個人調査対象:全国の15~69歳の男女(中学生を除く)のうち、アルバイトで働いている人2,741人 企業調査対象:アルバイトを雇用している企業の採用担当者666人(従業員数10名以上の企業に所属し、自社の非正規雇用労働者の採用方針を把握している経営者・役員または会社員) 個人調査期間:2026年9月1日~9月4日 企業調査期間:2026年9月1日~9月7日 調査主体:マイナビ ※調査結果は端数四捨五入の関係で合計が100%にならない場合がある。