──蟹江先生が理事長を務める「ビヨンドSDGs官民会議」は、7月に第3回フォーラムを開きました。2030年以降を見据えた議論は、どんな段階にあるのでしょうか。

来年の国連総会から、2030年以降の国際目標に関する議論が始まります。ビヨンドSDGs官民会議は、それに備えて立ち上げたものです。会議のもう一つの狙いは、SDGsへのモメンタム、つまり、みんなでやっていこうという機運を高めることです。

「2030年で終わりだ」と考えている人もいますが、そうじゃない。「持続可能」という言葉が示すとおり、取り組みはその先もずっと続いていかなければいけません。

ビヨンドSDGs官民会議を始めてみると、会議に参加してくださる企業や行政の熱量は想定以上でした。今は、誰がどのような考えを持っているのかをマッピングし、幅広く意見を聞いている段階です。

──米国のトランプ政権はSDGsへの支持を拒否し、パリ協定からも離脱しました。国際協調が揺らぐなかで、日本には何ができるのでしょうか。

むしろ今こそ、日本がルールメイキングをする大きなチャンスだと思います。国際ルールは外から降ってきて、守るものだ、という感覚があるかもしれませんが、それでは日本の強みも事情も反映されません。国際的な議論が始まる前から、考えを深めて発信していけば、「つくる側」に回ることができます。国連は国家の集まりなので、日本は当然リーダーシップをとることができるはずなのです。

ビヨンドSDGsの議論に積極的なのは、現状、日本とドイツです。今年のダボス会議でも「ミドルパワーが大事だ」と言われましたが、まさにその動きです。

  • ></picture>蟹江憲史

──先ほどの、大企業と中小企業のお話と同じ構図に見えますね。

そうかもしれません。大国は自分たちのスペースを広げようとして争い始めている。一方で、日本やドイツのようなミドルパワーは一国で世界を動かす力がないからこそ、一緒になって考え、動いていく塊をつくれます。

日本はもはや大国ではなく、頑張らないと注目してくれない国になっています。その現実を踏まえ、保健や少子高齢化のように他国に先駆けて課題と向き合ってきた分野で、サステナブルな方向をリードすること。SDGsはそのいいフックになり得ると思うんです。