睡眠研究は新たな時代へ
従来の睡眠薬は即効性があり、短期的には有効だが、長期使用では耐性や依存、翌日の眠気などの問題が指摘されてきた。それに対してCBT-Iは効果が治療終了後も持続しやすいことが示されており、慢性不眠症に対する根本的な介入として評価されている。
米国睡眠医学会(AASM)も慢性不眠症の第一選択治療としてCBT-Iを推奨しており、今回のガイドラインでも薬物療法との併用を含め、その重要性が改めて確認された。
近年はウェアラブル端末やAI解析の発展により、睡眠研究そのものも大きく変化している。睡眠時間だけでなく、睡眠の質や脳活動パターンを詳細に解析し、一人ひとりに合わせた個別化医療を実現しようとする試みが進んでいる。不眠症はかつて「他の病気の影に隠れた症状」と考えられていた。しかし現在では、それ自体が治療すべき独立した健康課題として認識されている。世界の睡眠科学は今、不眠を正面から治療し、予防する時代へと歩み始めている。
執筆:長野弘子
(主要参考文献)
ニューズウィーク日本版
「日本人の睡眠時間が短い」ことがOuraリングのデータで判明...専門家「睡眠は最高に退屈だが必要」
https://www.newsweekjapan.jp/articles/-/323887
米国睡眠医学会(AASM)
Combination treatment for chronic insomnia disorder in adults: an American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline
https://link.springer.com/article/10.1007/s44470-025-00038-8
Combination treatment for chronic insomnia disorder in adults: an American Academy of Sleep Medicine systematic review, meta-analysis, and GRADE assessment
https://link.springer.com/article/10.1007/s44470-025-00039-7[作成者1] [横山2]
米国立心肺血液研究所(NHLBI)
Insomnia
The Conversation
How scientists changed their view of insomnia
