社員への投資を重視する経営(人的資本経営)が注目され、転職市場の活性化や若手の価値観が多様化する中、部下との対話の場として1on1が広がっている。ただ、実施していてもキャリアの話まで十分にできているとは限らない。mentoの調査では、「キャリア・将来の展望」を「よく話している」管理職は35.6%にとどまり、53.6%は「話したいが話せていない」と回答した。

1on1の頻度は「月1回」が33.6%で最多、週1回以上は10.2%。管理職が削減したい業務では、報告・資料づくりや会議準備などが上位だった。管理職だけでなく、1on1を受ける社員や人事担当者にとっても、対話の実態を知る材料となる調査だ。

1on1は「月1回」が33.6%で最多

mentoは、100名以上の会社に勤める、直属の部下を持つ課長393名を対象に「管理職の1on1実態調査」を実施した。

1on1の実施頻度を聞いたところ、「月1回」が33.6%で最多だった。次いで「月2〜3回」が18.6%、「2〜3か月に1回」が16.5%となった。

「週1回以上」は10.2%にとどまり、「実施していない」は8.4%だった。

目的はパフォーマンス向上とチーム成果がともに47.8%

1on1を実施している360名に、1on1で重視している目的を聞いた。

1位〜3位の合計では、「メンバーのパフォーマンス・生産性の向上」と「チームの成果・目標の達成」がともに47.8%だった。「メンバーの成長・自走」も42.2%に上った。

チームの成果だけでなく、メンバーのパフォーマンスや成長を支援する時間として1on1が実施されていることがわかる。

キャリアは53.6%が「話したいが話せていない」

実際に1on1で扱っているテーマを見ると、「よく話している」の割合は「業務の進捗・課題」が65.0%、「チームの方針・戦略」が58.1%と上位だった。

一方、「キャリア・将来の展望」は「よく話している」が35.6%にとどまった。「話したいが話せていない」は53.6%で、全8テーマの中で最も高かった。

このほか、「部下からあなたへのフィードバック」は50.0%、「本音・不満」は48.3%が「話したいが話せていない」と回答している。

管理職の評価、最多は「チームの成果・数字を出す」57.5%

管理職として期待されている・評価されることを1位〜3位の合計で見ると、「チームの成果・数字を出す」が57.5%で最多だった。

続いて「部下の育成・キャリア支援」が50.9%、「部下のケア・関係性づくり」が42.0%となった。

また、1on1の実施頻度別では、週1回以上1on1をしている管理職は「部下の育成・キャリア支援」が評価されている傾向が見られた。一方、1on1の頻度が下がるにつれて「部下のケア・関係性づくり」が評価される割合も下がっていた。

削減したい業務は「社内向けの報告・資料づくり」が36.1%

管理職の仕事のうち削減したい業務では、「社内向けの報告・資料づくり」が36.1%で1位だった。僅差で「会議の準備・調整・議事録」が34.6%と続いた。

3位は「部下からの相談・質問への一次対応」の18.3%だった。

一方、「部下のコンディションを気にかけ・察知し続けること」は7.9%で、部下と向き合う業務を削減したいとする割合は相対的に低かった。

週1回以上の1on1、上司・部下の関係の質は平均4.5点

1on1の実施頻度と、上司・部下の関係の質を示すスコアを比較したところ、「週1回以上」実施している管理職は7点満点中平均4.5点で最も高かった。「実施していない」管理職は平均3.8点だった。

このスコアは、上司と部下の関係の質を扱うリーダー・メンバー交換理論(Leader-Member Exchange、LMX)の7項目尺度「LMX-7」を参考に設計したものだ。対象は部下が4名以上いる管理職312名となっている。

項目別では、「権限を活かした問題解決支援」が週1回以上で4.7点、実施していない場合は3.7点だった。「部下との関係がチーム成果に効果的に働いている」も4.7点と3.7点で、それぞれ1.0点の差があった。

1on1は時間の確保だけでなく対話の質も重要

mento副社長の丹下恵里氏は、管理職にとって「チームとしての事業成果」が重要である一方、成果につながるメンバーの育成や関係性を高めるコミュニケーションは時間のかかる取り組みであり、優先順位づけが難しいと説明している。

今回の調査から、管理職がその重要性を認識しながらも、中間業務などに時間を取られ、十分な時間を割けていない葛藤が見られたとしている。また、1on1の時間を確保するだけでなく、限られた時間の中で対話の質を高めることも重要だとしている。

1on1を実施している管理職や人事担当者は、自社の実施頻度を確認してみてはどうだろうか。あわせて、「キャリア・将来の展望」や「本音・不満」まで話せているかも振り返りたい。管理職の時間が事務作業に偏っていないか、今回の調査結果と照らして見直してほしい。

調査概要

調査名称:管理職の1on1実態調査(2026年7月)。 対象期間:2026年7月17日〜7月19日 調査対象:対象は100名以上の会社に勤める、直属の部下を持つ課長 有効回答数:393名 調査方法:インターネットリサーチ 調査機関:mento 調査委託先:ジャストシステム。 回収したデータに補正は行っていない。